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TORG往復書簡リプレイ

『MOMO Can Survive』

第一幕

 
「我が名はデスホーク! 死を告げる鷹!
 貴様たちのような悪党には、このカイロから出て行ってもらおう!」

 謎の黒い覆面ヒーロー、デスホークの呼び掛けに賛同して、
 カイロ中のヒーローが、ナイル帝国総督ウー・ハンやその他のヴィランに対し、
 大規模な反攻作戦を開始した。

 
シーン1

 
GM:そんなカイロにおいて、あなたの会心の一撃が、動物から改造されたと思しき怪人を打ち倒します。

球太郎:ほうほう、つまり、デスホークというすごいヒーロー(*4)の号令一下、カイロ中のヒーローが動いていて、球太郎たちもその一部、という理解でいいですね?

GM:はい。適宜、演出を挟んでください。詳細はお好きに決めちゃっていいです。

球太郎:なら、お言葉に甘えて。(以下、球太郎プレイヤーによる演出はこの色で表記)
 

 ナイル帝国を恐怖のズンドコに陥れた「ドグラマグラ大作戦」の実行犯である怪人、
 悪の改造人間「鵺獣鬼(ビースト:コードキメラ)」との戦いは佳境を迎えていた。

 

仮想プレイヤーA:「どおりゃああ! おい、しゃくだがよ、怪人(ヤツ)の相手はお前に譲るぜ、タマキチ!」
 

 怪人と同じ改造をされながら、
 脳改造直前に脱走した正義の改造人間「狼獣鬼(ビースト:コードウルフ)」が、
 怪人の前に立ちはだかる戦闘員の群れを吹き飛ばす!

 

球太郎:「球太郎だっつーの!」
 

 いつものツッコミを入れながら、球太郎はアイコンタクトで了解の旨を伝える。
 このミッションだけの即席コンビとしては、上々の連携だ。

 

仮想プレイヤーA:いやー、改造人間どうしの一騎打ち、燃えるシチュだったが・・・。

球太郎:すみませんー。

仮想プレイヤーA:何を謝る(笑)。戦闘の流れでそういうことって、あるよね。
 

GM:なんかすごい演出キター! しかも、他のプレイヤーさんまでいる!(笑)
 

仮想プレイヤーB:「野原、私が威圧する」
 

 やはりアイコンタクトで伝えてきたのは、恋人を改造人間にされ、
 組織に復讐を誓った「復讐の鬼女」。
 ある理由により一抹の不安を覚えながら、球太郎は了解のサインを送る。
 即席パーティーとはいえ、それは信頼の証である。

 「復讐の鬼女」は、目の前の怪人を見据える。
 彼女が纏う復讐の凄みは、どんな相手でも怯ませ、隙を確実に作る・・・はずだった。

 

仮想プレイヤーB:(コロコロ)うわ! リンク切れ!

球太郎:ぎゃああ! Bさん、ここはもはや、あの展開しかないのでは?

仮想プレイヤーB:そうね・・・あれしかないわね。しかしまさかここで出るとはね・・・。
 

GM:ちょっと待って。Bさんはナイルのリアリティ持ちですよね。リンク切れは、「本人」または「現在地」のアクシオムレベルを超えていて支え切れない時に発生します。言い換えると、自分と同じリアリティの場所にいる時には、1を振ってもリンクは切れません。単に達成値が低くて失敗になります。

球太郎:なるほどー。ご指摘ありがとうございます。Bさんはナイルで合ってます。「復讐の鬼」っていうアーキタイプがいると記憶してますが、それです。訂正案としてはこうなります。
 

球太郎:ぎゃああ! リンク切れ!

仮想プレイヤーB:いや、切れない。私ナイル(笑)。でもひどい出目ね・・・。

球太郎:Bさん、ここはもはや、あの展開しかないのでは?
 

 しかし、彼女の武器である凄みは、何故かその瞳に宿らず、代わりに・・・一筋の、涙。
 嗚呼、なんという悲劇! 目の前の怪人「鵺獣鬼(ビースト:コードキメラ)」こそ、
 彼女が探し求めていた恋人その人だったのだ!

 彼女の〈威圧〉は効を奏することなく、怪人は必殺の構えで球太郎を迎え撃つ!
 だが、球太郎は見逃さなかった!
 怪人の瞳にもまた、かすかな迷いの色が浮かんだことを!

 

球太郎:「惚れた女を・・・泣かしてんじゃねえよ! バカヤロウ!!」

仮想プレイヤーA:いったれータマキチ! “アドレナリン”をやろう!

仮想プレイヤーB:キャラ的に口には出さないけど、彼への気持ちを代弁してくれたという意味で、野原は“ヒーロー”といったところね。

球太郎:ありがとうございます! 見せ場宣言! “アドレナリン”、“ヒーロー”、“ドラマ”そして・・・“偉業”カード切ります!!
 

 球太郎は、構えていたバットを左手に持ち替え、右手の拳を限界まで握る。
 会心の一撃が、怪人を打ち倒す!
 血の出るほど握り締められた拳は、怪人の顔面にこれでもかと食い込み、
 その体は衝撃で吹き飛びながら、人間の姿を取り戻していくのだった。

 怪人が人間に戻り、「復讐の鬼女」・・・もっとも、今はそうではないが・・・
 の腕に抱かれたのを見て、球太郎は安堵の笑みを浮かべる。

 

球太郎:ナイルなので、悪から正義になるかな、と思い、こういう物語にしてみました。

GM:では、そこからシナリオを開始しましょう。元怪人の後方で、ガタン! と、大きな物音がします。

球太郎:すぐに警戒体制に入ります。「狼獣鬼」にその場を任せ、部屋の奥へと進みます。

GM:部屋の奥に鎮座している、ブリキ缶を思わせる人間大のケースが、ゆっくりと2つに割れます。プシューッ、という音がし、蒸気と共に中から現れたのは、肩までの黒いウェーブヘアーに、

 選択肢A。白いノースリーブのワンピースを着た女性。
 選択肢B。ラッキースケベ。一糸まとわぬ姿をした女性。

球太郎:早速の、ある意味究極の選択ありがとうございます(笑)。
 

 「うわわわっ! ちょっ、おまっ、何て格好っ!!」
 秒速でそっぽを向くが、その寸前、目にしてしまった鮮烈な光景は、
 脳裏からなかなか離れてくれない。

 

球太郎:初めはAにしようかと思ってましたが、気が変わって、Bに、挑戦してみようかと。
 

 鼻血の海に溺れそうになるのを必死で堪えながら、
 球太郎はようやく、ストームナイトとしての勤めを思い出す。
 スポーツバッグからブルゾンを取り出し、目を逸らしたまま、女性に差し出す。

 

球太郎:「ストームナイト、野原球太郎。君を助けに来た。怪我はないか? その・・・何はともあれ、まずはこれを着てくれ、頼む・・・」

GM:描写を微修正します。背中まで伸びた髪。この長さなら、カメラに映るとまずい箇所を隠せます。

球太郎:ご配慮ありがとうございます。映像的に放送できるか否かに関わり非常に重要ですし、私の好みはロングです(笑)。

GM:「のはら、きゅうたろう、さま?」

球太郎:恐らく囚われていたのだろうと直感し「助けに来た」と口走ったが、それすらも定かでないことに気付きます。「さま、なんて柄じゃない。球太郎でいい。あと、服を着てくれ。身体が冷えたらいけないから」
 

 怪人との戦闘で必要とするそれとは比較にならないほどの勇気を振り絞り、
 しかし目は確実に逸らしたまま、球太郎は一歩踏み込み、自分のブルゾンを女性に着せる。

 

GM:「わたしは・・・わたし、は・・・?」
 

 もしかして、記憶がないのか?
 どう話を始めたものか、思案する球太郎の目が、ブリキ缶の下部にビス留めされた銘板の文字を捉える。

 

GM:ところどころ掠れていたり、解らない文字列だったりを無視して斜め読みすると、『MOMO』と読めます。

球太郎:「モモ?」そのまんま口に出し、そして初めて、彼女と目を合わせます。

GM:「モモ・・・。わたしは、モモというのですね、きゅうたろう」
 

仮想プレイヤーA:いやそこは、球太郎さんでいいだろう。

球太郎:えぇ? よくないですか? 記憶がないんですから、聞いたままオウム返ししそうですし。それに、敬語+呼び捨てって萌えません?

仮想プレイヤーB:若干特殊な嗜好ね、引くわー(笑)。記憶喪失といっても赤ちゃんじゃないから、初対面には普通にさん付けしてもおかしくないと思うけど。
 

GM:実は、オウム返ししている、が正解です。でも、さん付けの方が自然だと思うので、ここから先はそうしますね。

球太郎:わたしはモモ? と問われ、一瞬どうすべきか迷います。そして、ありのままを正直に話すことにします。「君は、どうやら自分のことを覚えてないみたいだ。だから・・・モモ、って呼んでいいかな?」

モモ:「わかりました。たすけてくれて、ありがとうございます。きゅうたろうさん」

GM:彼女は、周りをほんわかさせるような、柔らかい微笑みを、あなたに向けます。

球太郎:返ってきた笑顔に、少なくとも嫌ではないようだ、と思い、ホッとします。殺那の間、その笑顔に見とれます。目の前の彼女、モモが、ブルゾンに裸なのも忘れて。

GM:(笑)
 

 不意に、耳障りなほどにカン高い口笛がひとつ聞こえる。
 球太郎は頭を抱え、心の中で盛大な舌打ちをする。
 ・・・ヤツが、この状況を放っておくはずはなかったのだ。

 

仮想プレイヤーA:「やるじゃねえの、タマキチぃー」

球太郎:「球太郎だっ! そしてこれには訳がっ」

仮想プレイヤーA:「ああーん、しかもそのブルゾンはお前のか? 着せたことである意味、よりエロくなっていることに気付いてるか?」

球太郎:「バッ・・・! 違っ、そんなつもりじゃっ・・・」
 

 さらに言い募ろうとする「狼獣鬼」だが、不意に強烈な殺気を感じ、口をつぐむ。
 遅れて、球太郎も同様の殺気を感知する。

 

仮想プレイヤーB:「・・・最っ低」
 

 「復讐の鬼女」の〈威圧〉。
 止まらない冷や汗と共に実感する。敵に回すとこれほど恐ろしいものはない。

 

仮想プレイヤーA:「おっと、外に組織の残党がいるかもしんねえ、ちょっくら蹴散らしてくるか!」
 

 「狼獣鬼」は風のように外へ飛び出して行ってしまう。

 球太郎も「復讐の鬼女」も解っている。
 外の戦闘員はきっちり片付け、入念に残存確認した上で突入したのであり、今や残党がいるはずはなかった。
 大方、「狼獣鬼」は「復讐の鬼女」の矛先を避けるために逃げ出したのであり、
 今頃ニヤニヤしながら一服していることだろう。

 悪態はつきながらも、「復讐の鬼女」は、一息ついて気分を切り替えたようだ。
 

仮想プレイヤーB:「野原、ロッカーに女子戦闘員の制服と思われるものがあったぞ」

球太郎:「ありがたい! すまないが、彼女に着せてあげてくれないか? 俺はあっちに」
 

 あくまでエチケットとして、その場から駆け出そうとした刹那、再び目が合う。
 何故か、今は離れない方がいいような気がした。
 刷り込みではないが、記憶がない中、初めて目にした存在が離れたら、不安かもしれない。

 

球太郎:そう思い、立ち止まって、目をまっすぐ合わせ、声を掛けます。「大丈夫、俺はここにいる。このお姉さんは味方だ。俺の仲間。俺があっち向いてる間に、服を着せてもらってくれ」
 

 「大丈夫?」と気遣う声、気遣いに応える声が背中越しに聞こえる。
 復讐から解放され、優しさを取り戻した仲間と、
 その仲間に少しでも気を許すモモの様子に、安心する球太郎であった。

 

GM:シーン終了。ここでカードを配ります。4枚のうち1枚を選んでください。“警戒”、“アイデア”、“逃走”、“モノローグ”。

球太郎:うおっ、得意の敵方失敗がないっ!?(笑)“警戒”をいただきます。

 
NEXT → 時が経つにつれ、球太郎とモモの関係も変わっていく……
 


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