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TORG往復書簡リプレイ

『MOMO Can Survive』

第四幕

 
シーン3

 
 球太郎の心の中を、モモのセリフがぐるぐる回ります。

 《今日の球太郎さんも、格好良かったです》
 《私は・・・球太郎さんのことを、ずっと見ていたかったので・・・》

 モモの肩に置いた手が、自信を失ったように震えます。
 「それじゃあ・・・今までの、今までの、言葉、は・・・全部・・・ぜんぶ・・・」
 「球太郎、さん」
 モモの肩から、球太郎の手が、離れます。

 「うおおおおおっ!!!」
 球太郎の、目から、身体中から、深紅の炎が燃え上がります。
 それは、いつも放つ、激しい中に暖かみのある、昭和の野球漫画によくある炎ではなく、
 もっと攻撃的な・・・そう、憎しみを内包した、全てを焼き尽くそうとする、そんな炎。

 ダッ、と地面を蹴った次の瞬間、球太郎はファーザーの目の前です。
 バットを構え、狙うは滅多打ち!
 いつもでは考えられない、まるで獣のような動き、そして目付きです。

 

球太郎:これは、ルール的にはダメージを伴わないフレーバー戦闘だと思うので、ファーザーの反撃演出もお任せしたいと思います。全てを華麗に避けるもよし、反撃して逆にフルボッコもよし、血だらけになりながら不気味な笑みを浮かべ、不死性をアピールするもよしです。一番イヤなのは、ファーザーが催眠術で船員を盾にし、(今、フォースの暗黒面に堕ちて我を忘れてるので)船員をフルボッコにしてしまい、後で心底落ち込む展開ですかね・・・。

GM:残念ながら、船員が盾になるパターンです。我に返ってバットを寸止めしてもらってもOKです。滅多打ちはちょっと、絵面的にね(笑)。
 

 船員にバットを叩きつける寸前、球太郎の心に、ある一言が響きます。
 『たとえ、私が何者であっても、球太郎さんのおそばに置いてくださいますか?』

 以下、球太郎の心象風景を演出します。
 (モモのセリフは、球太郎自身の冷静な部分が、モモを通して表現されているものと考えています)

 モモの一言で我に帰った瞬間、真っ赤だった世界が、突然真っ暗闇に変わり、
 その中で立ち尽くす自分に気付きます。
 「何てことだ。俺は、怒りに我を忘れていた・・・?」
 「そうですよ。お約束してくださったでしょう。たとえ、何者であっても、と」
 「そうだった。ごめんな。危うく忘れるところだった!」

 たとえ、今までのモモの言動が、奴の言うように、作られたものであったとしても、
 その約束を違える理由にはならない。
 自分がモモを想う気持ちに変わりはないし、
 モモが自分に寄せてくれる気持ちにも、変わりはない、と、信じられる。
 約束の言葉が、球太郎にその気持ちを思い出させ、怒りから、本来の気持ちに引き戻したのだ。

 「球太郎さん、機関長さんの言葉を思い出してください」
 『坊やがアレと一緒にいること。それ自体が、一種の意趣返しなのよ』
 「球太郎さんが私といる状況自体、お父様から球太郎さんへの意趣返し、ということは・・・」
 「この状況自体が、奴の罠!」
 「ようやくいつもの球太郎さんに戻りましたね。安い挑発に乗る球太郎さんなんて、格好悪いですもの」
 「言ってくれるね。元々俺は、格好いい男じゃないさ。時には、いや、八割がた格好悪い。
  それでも、側にいてくれるか?」

 モモは答えず、ただ、柔らかく微笑みます。
 いつもの、ほっとする笑顔を最後に、球太郎の視界が開け、目の前にファーザーが見えます。

 

球太郎:バットを当てそうになった相手に、すまねえ、と一言謝り、バットを下ろします。そして、ファーザーの目をまっすぐ見据えて言います。「罪のない女の子の人生を奪う。その子を使ってデータを奪う。今もそうやって、船員たちの意思を奪う。お前さん、奪うしか能がないんだろうな」

モモ:「・・・・・」

球太郎:そしてここから、船員たちの〈説得〉に入ります!

「欲しいなら、奪うんじゃなくて、自分で手に入れればいい。それか、分けてもらえばいい。そんなことも分からず、奪うだけしか能がない奴を、俺は、いっぱい見てきた。俺たちストームナイトの役目(ミッション)は、そんな奴らに、殴ってでも分からせることだ! そして、俺たちの夢(ビジョン)は、奪う奴らのいない、みんなで分け合う世界だ!」
 

 ストームナイトの、ミッションとビジョン。
 多くの先達が戦いの末に到達し、さらに歩みを進めていったであろう境地に、
 球太郎もまた、たどり着いた瞬間であった。
 ディ様が、いつか投げかけた問いへの、答えとして。
 若きひとりのストームナイトの魂についに結実したひとつの道を、
 球太郎は、喉も枯れよとばかりに、叫びます!

 

球太郎:「奪われた可能性(ポシビリティ)を、取り返したい! 取り返した大事なものを、みんなに返したい! この船は! それが出来る、すげえ船じゃねえか! フィラデルフィアに希望を運ぶ、すげえ船じゃねえか! もう、こんな奴らに騙されず、これからもすげえ船でい続けてくれ!・・・ひとりのストームナイトとしての、願いだ」

GM:・・・・・。

球太郎:見せ場宣言! “ヒーロー”、“偉業”、“奮起”を使用! 〈説得〉で偉業達成、そして“奮起”でカードを補充したいです。

GM:お見事! 偉業達成です! が、なおもファーザーは揺さぶってきます。「自ら手に入れることと奪うこと。どこにどう違いがあると言うのです?」

球太郎:先輩の背中を追っていた前回と違って、自分なりの道を見出し、偉業を成した球太郎にとって、そんなものは揺さぶりにもならない! バットを肩に担いで、「そんなこと言ってる時点で、お前もうだめだ。どう違うかといえば、人を傷つけないかどうか、なんて、説明するだけ虚しいぜ」

GM/マーベリック:「・・・・・」

球太郎:「自分の頑張りで掴み取ること。頭下げて分けてもらうこと。それを知らねえで育ってきた奴も稀にいるだろう。そういう奴から同じこと聞かれたら、喜んで教えるよ。けどな、お前みたいに頭いいのを自慢にしてる奴は、そうじゃねえよなあ。『分かった上で』、他人の頑張りを掠め取り、ぶん殴って奪い取る方を選ぶ奴は・・・救いようがねえよ」バットを構えて、戦闘体制に入ります。

GM/マーベリック:「おや、暴力に訴える気ですか。さすが、ランの仲間だっただけあって、野蛮な人種のようですね。いいでしょう。道理というものをわからせてあげます!」

GM:一方、ヴォルフはファーザーに見つかることなく、疾風のように階段を駆け下りていました。「開かずの間」の扉に何度もタックルし、遂に蝶番を破壊。中で眠らされていたメアリィの拘束を、牙で噛み千切って全て解き終わると同時に、メアリィが目を覚まします。

球太郎:ヴォルフ、ナーイス!!「あいつはきっとやってくる」式の登場を期待してましたが、その斜め上の活躍!
 

『もう、こんな奴らに騙されず、これからもすげえ船でい続けてくれ!
 ・・・ひとりのストームナイトとしての、願いだ』
 

GM:球太郎の熱い呼び掛けが、伝声管(*23)から響いています。

球太郎:おお! 伝声管! 熱い! あまりに胸熱でこちらが泣きそうです!

GM:「ありがとな、キュウタロウ」泣きそうになるのを懸命に堪えて微笑み、立ち上がるメアリィ。

球太郎:いや、ほんとに、船長にもこういう形で気持ちが伝わって嬉しいです。

GM:『歩けるか』「当然!」つまり、ここぞというタイミングでメアリィ登場! と予告しておきます。

 
NEXT → 最大の敵に、球太郎は改めて真っ向勝負を挑む……
 


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