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TORGリプレイ

『Open Mind』

第二幕

 
シーン4 Open Mind(承前)

 
 カトリーナが未来視し、心の中にしまいこんだ光景。
 それは彼女が、エタニティ・シャードを目の前にして、命を落とす、というものだった。
 

ジョシュア:私は、単刀直入に、「解った。後は任せろ」って言いますよ。

裕人:「あれ? キミはそれでいいのかい?」

GM:痛いところを突かれた、という顔を、カトリーナが初めて見せます。

裕人:「キミがそうしたいなら、止めないけど、この際、国家のためとか、そういうのは、一回置いといたらどうかな?」

ジョシュア:いや、恐らくエタニティ・シャードを手にした時点で、彼女の寿命が尽きる、ということなんだろう。

GM:あ、えーと、そうとも限らないです。

イリス:私は、カトリーナの袖をぎゅっと引っ張って、首をフルフルします。「ダメだよそんなの! だって、死んじゃったらもう、誰の役にも立てないんだよ?」

ジョシュア:こういう人がいるから安心して非情なセリフが言える(笑)。

イリス:「国家のためだって、言ってるけど、カトリーナが守りたいのは、国、だけじゃないよね? 私は、カトリーナに生きててほしいよ。カトリーナの見た未来を、外しに行くよ、私は」

裕人:イリスの頭を撫でながら、「そこに関しては俺も賛成だなー」

GM:〈意志力〉で振ってもらえますか。

裕人:(コロコロ)2。マイナス10。

GM:夜で高揚してるから振り足していいよ。

裕人:確か、この〈意志力〉は振り足せないって、言われたんです。

GM:あ、そういうレギュレーション(*9)なんですね。では、振り足しなしで。

裕人:大丈夫です。“やり直し”します。うぉぉぉー! (コロコロ)16。14って言ってます。

GM:14なら大丈夫。

イリス:アイル的には、どう反応すればいいんでしょう。

裕人:多分、真の姿は見えないんじゃないッスかね。

GM:アイル的に言うと、ヴァンパイアは、ある種の霊的生物。裕人がアイルへ行くと、どよんと曇った感じに見えるかもしれませんが、幸いここはナイルなので、ストームナイトの皆さんは全員、光ってます。本性・善ですから。

ジョシュア:カトリーナに質問をしましょう。「きみは死ぬのが怖い人間か? それとも任務に失敗するのが怖い人間か? どっちだ?」

GM:・・・・・。

ジョシュア:「死ぬのが怖いと思うんだったら、全力で生きるようにすればいい。もし、何かのため、国家のために、任務に失敗するのが怖いんだとしたら、命を賭けても成し遂げろ。それは命よりも価値があるものだ。決めるのは、きみ自身だ」・・・私は任務に失敗する方が怖いけどねー(笑)。最終的には自分でどうしたいかですよ。

宗元:「もし、やりたいことが、ひとりじゃ難しいんなら、誰かに言ってもいいんやで?」

GM:・・・・・。

宗元:「できるかどうかは、したいかどうかの次でええ。大丈夫や。ここにストームナイトが4人もおる!」

裕人:うん。

GM/カトリーナ:「ひとり足りませんよ。5人です」

宗元:「・・・よう言うた!」

GM/カトリーナ:「ジョシュアさん。あなたには軽蔑されるかもしれませんけど、死ぬのは、本当は嫌です」

ジョシュア:「だったら、生き抜けばいい」軽蔑はしない。だって彼女は超能力者であって、工作員じゃないですから。同僚が死ぬのが怖いって言ったらすごい軽蔑するけど(笑)。そこは大丈夫ですよ。

裕人:「おーっし、決まった決まったー」

GM:と、言っていると、部屋の奥の壁が、光り始めて、皆さんに声が聞こえます。
 

『虚心の槌。其れは、王の御代の長く続くを信じたる者の証なり。
 此れを得、御代のために何かを為さんとする者には幸いを。盗人には災いを』

 次の瞬間、神を描いた壁画の輪郭が浮かび上がり、ドスン、と一歩踏み出して実体化する。
 交差させた腕の、右手には王権の象徴たる杖、左手には槌が握られている。
 

裕人:ずん・・・ずん・・・。「でっけー!」

宗元:「この前の実験体並みにでかいな」

イリス:「じっけんたい?」

GM:今、でっち上げましたか?

宗元:まあ、うん。歌舞伎町なんとか事件みたいな。

GM:解りました。今度過去編として、歌舞伎町で、でっかいゴスポグや、ミュータントと戦う話(*10)をやりましょう。それは置いといて。
 

『ラーの魂を持つ者よ。汝の願いは何ぞ? 心を開き、汝が何を為さんとするか、我が前に示せ』
 

裕人:つまりカトリーナは、盗人っていうことになるのか。

イリス:ま、現状そうよな。

GM:と、見做されます。このままうまくしないと。

ジョシュア:さあ、どうしようか。

裕人:えーと、何を頼めばいいんだ。何て言えばいいんだ?

GM:そこはもう、皆さん次第です。

宗元:・・・願い事、ねぇな、ワシ。

裕人:うん。別に自分も、願い事ないッスね。

ジョシュア:虚心の槌、エタニティ・シャードを使って、何をやりたいか。自分はこう答えます。「地球を侵略してくる侵略者から、地球を守る。そして全ての地球に平和を取り戻す」

GM:(おおっ!)

イリス:そこに続けて、「みんなを助けるための、力を、貸してください!」

GM:なるほど。これは、戦闘回避の可能性があります。どちらかがリーダー、どちらかがサポーターで、〈説得〉を振ってください。

ジョシュア:〈説得〉いくつですか? 私は14。

イリス:〈説得〉技能はない。《魅力》は9です。

ジョシュア:私がリーダーで振った方がいいですね。ポシビリティ使うのも辞さない構えでいこう。1が出たら笑うしかない。(コロコロ)1。やったー!

GM:嘘ぉ!(笑)

ジョシュア:ポシビリティ使います。(コロコロ)20。(コロコロ)24。

宗元:差が激しいな!(笑)

ジョシュア:〈説得〉22です。ちょっと楽しかった。今の出目は。

イリス:荒ぶってる。こっちも振りまーす。(コロコロ)6。ポシビリティで振り足した方がいいかな。(コロコロ)2。あれ?

GM:ポシビリティでの振り足しは、最低でも10とみなしていいです。

イリス:ってことは、16、+3。《魅力》と足して12。

GM:成功。リーダーの達成値に+2されて、24。あと一声。“貫禄”か“アクション”を持ってる人はいませんか。

ジョシュア:“アクション”を使って、+3、27ですね。

GM:では、再び声がします。『ラーの魂を持つ者よ。御代のために、己の為すべきことを為せ』こちらに歩み寄っていた石像が、役目を終えたかのように、さらさらと崩れていきます。そして、赤と青のダンダラ模様の槌が、ドスンと落ちてきます。

ジョシュア:「子どもの頃に見た漫画で、これを持ち上げられる者が、真に心が高潔な者だとかいうのがあったな」

宗元:マイティ・ソーじゃねーか(笑)。

イリス:カトリーナの方を気にしますよ。どんな様子?

GM:ぺたんと座り込んで、放心しています。

イリス:ガシッと手を取って、「大丈夫、大丈夫だから!」と、励まし続けます。

ジョシュア:生命力を吸い取られるのかもしれない。持つのがしんどいんだったら、俺が持つ。自分の命? 任務? 迷わなーい(笑)。

GM:大丈夫、別に何も起こりませんよ。むしろコアアースのリアリティのあなたが持ったら、よく解ります。
 

 ■虚心の槌(Hummer of Open Mind)

 コズムコアアース
 難易度17
 パワー所有者は、気持ちのクリア及び真実を見抜こうとする試み(〈意志力〉や、幻覚への不信)に対し、+5のボーナスを得る。
 グループパワースティリー・センス
 制約嘘を伴う〈トリック〉や〈説得〉には使用できない。また、他の道具を一切手に持っていてはいけない。

 
GM:まず、〈リアリティ〉判定で17を超えると、ポシビリティが引き出せます。次にパワー。所有者は、騙されている状態からのメンタルリセット及び、真実を見抜こうとする試みに対し、ボーナスが+5つきます。

ジョシュア:はい。

GM:グループパワーというのは、ストームナイトのグループが使える特別なパワーですが、今回は、直接的には関係ないかな。【スティリー・センス】は、侵略者の陣地(レルム)を作っている杭(スティリー)を引き抜くために、杭の在り処を探すパワーです。

裕人:へー。

GM:だから、今回偉業をやって、将来、杭を抜こうと思う時には、カトリーナから依頼が来るかもね、という布石のつもり。

ジョシュア:解りました。

GM:制約として、引き出したポシビリティは、嘘を伴う行動には使用できません。

宗元:そういや、今までワシ、ニッポンテックやのに嘘ついとらんのう。

ジョシュア:この道具を使って、嘘を言っちゃいけない、ってことですね。

裕人:あれー。サクッと終わったなー。

宗元:一応後ろを警戒します。ショックトルーパーの車、奪ってきてるし。

GM:うん。バタバタとショックトルーパーが来てるね。「奴らを逃すなアル!」

裕人:アル?!

GM:アルとか言ってる声が、何故か聞こえてくるんだな。でも、到着するまでにはまだ時間がありそう。

ジョシュア:「じゃ、さっさとずらかるか」

GM:どのように? ここ、遺跡の一番奥です。

宗元:隠れて、いないふりをするとか。ワシ、陰謀の法則で〈隠れ身〉に+3なんですよね。

裕人:自分、霧になれるんですよね。

イリス:【パスファインダー】。抜け道を見つける魔法を使います。

宗元:ああー。はいはいはい。

ジョシュア:お願いします。

イリス:(コロコロ)10、振り足し。(コロコロ)成功。難易度を5超えました。

GM:さすがですなー。では、道が見つかったよ。

イリス:「あっち!」思いっきり壁の方を指差します。

宗元:「なんや、壁が薄いとでも言うんか?」ドン。

GM:ズーン! ガラガラガラ! ここナイルですから。

宗元:「あ。やってもうたわ」

ジョシュア:「もうちょっと綺麗にやってもらえば、現状修復できたんだがな」

宗元:「ああ、すまんのう」

GM:大丈夫。ナイル帝国には〈エンジニアリング魔法〉という魔法があって、魔法の力で建築物が元通りになります。

イリス:おおう。

裕人:「じゃあ、ずらかりますか!」

GM:抜け道を通って地上へ出たところで、第二幕終了です。皆さんに2ポシビリティずつ差し上げます。
 

 
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