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TORGリプレイ

『Pandora』

 

第一幕

 
シーン2 Pour Mon Chéri(承前)

 
GM/芹奈:「改めまして、お願いがあります。私の仲間を助けるために、フランスへ行ってください」

マキシム:フランスか。

勇人:また剣呑なところですね。

GM/芹奈:「具体的にやっていただきたいのは、このメモリを、ニッポン人とフランス人の男性2人に渡すこと。彼らの名前は、神崎龍信とマルセル・バルボー」

勇人:ぴくっと眉を動かします。

GM/芹奈:「私たちは、前回のビジネスで、フランスのゴッドネットに囚われていた100人の魂を手に入れました。神崎さんとマルセルは、彼らの肉体が、必ずどこかに保管されているはずだと考えて、フランスへ向かったんです。目的地はおそらく、ランス(Reims)」
 

 芹奈が示したメモには、Reims、そしてフランス語で教会を意味するégliseという単語が書かれている。
 

GM:ランスというのは、フランスの北部、シャンパーニュ県の、大きな都市です。シャンパンの産地であり、歴代フランス王の戴冠式が行われた場所としても有名。

神崎:あっ、ノートルダム大聖堂がある街か。

GM:そうです。そして、サイバー教皇領ソースブックに書いてあるんですが、ランスには、9つの教会警察の大隊が滞在しており、治安の維持に躍起になっています。

マルセル:迂闊なことをやろうものなら! っていう。

勇人:はー、なかなかすごいところだ。

GM/芹奈:「マルセルは用心深い人なので、何もなしで信じてもらうのは難しいと思います。だから、このメモリを持って、2人と合流してください。芹奈から預かったと言って、渡してくれればいいです」

勇人:「では、僕たちのIDカードを用意していただいてよろしいですか? かの地では、身分証明が重要になりますので」

GM/芹奈:「解りました。少し時間をください」

マキシム:「芹奈。意味の解らん言葉がばんばん出てきた。これ(メモリ)は何だ?」

GM:「ああ、そうね。その中には、えー・・・魔法の言葉が入っていると思えばいいんじゃないかしら」勇人を見て、「メモリの中身は、魂をアクティベート(活性化)するための、パスコードです」

勇人:「えーと、スクロール(巻物)ですよ、スクロール。亡くなった人の魂に、アクセスするための呪文が入っています。それを唱えるための、専門技能を持った魔法使いが、先行しているので、その人と合流してください、という話です。呪文の構築に時間が掛かったので、後から追いかけることになりました」

マキシム:「そうか。その魔法使いに会えばいいんだな」

勇人:「聞き及んだところによると、凄腕の剣士が、一緒にいらっしゃるそうなので、あなたにとっても、いい刺激になると思いますよ」

GM/芹奈:「嵐王寺総帥。このパスコードを準備したのは、私ではないんです」

勇人:「ほう。ではどなたが?」

GM/芹奈:「レイ・ハーソンという人物です」

マルセル:ここで補足説明が入る感じですね。

GM:レイ・ハーソンとは、ゴッドネットの地獄から助け出した100人とはまた別に、地獄に堕とされて、怪物ベヒモスの中に囚われていた人です。神崎さんが、魂の入ったチップをひっこ抜くという、偉業をやってくださったおかげで、彼は助かりました。

神崎:肉体は?

GM:肉体はカリーナ(*10)が隠し持っていたんですよ。

勇人:だから、彼は一足先に、復活しました。

GM:マルセルが残した手引き書を頼みに、芹奈がレイ・ハーソンの肉体に魂を戻しました。

神崎:あー、そっかそっか、そういう話だったね。
 

 回想―――レイ・ハーソンは芹奈にこう語った。

「私の魂は肉体から切り離され、物質的なチップに収められた。そのチップは怪物の中にあり、常に通電されていた。そのおかげで、私は怪物が『喰い潰した』全ての情報を、『見る』ことができた」

「これは非常に稀なケースのようだ。通常、チップに収められた時点で魂は『休眠状態』になる。眠った魂を目覚めさせるには、ただ電気信号を与えるだけではなく、『アクティベート』させる必要があるらしい」

「幸運にも、私は、アクティベートのためのパスコードを目にしていた。このメモリの中に、パスコードが入っている。パスコードが判らなければ、魂を肉体へ戻すことは決してできない」
 

GM:という話を彼から聞き、だったらメモリを届けなきゃまずいじゃない! と。

勇人:うん、納得納得。「聞くところによれば、その100人は、教会側が特に問題があるとして、煉獄に叩き落とした人たちなので、復活させることには、大きな意義があります」

GM/芹奈:「ただし、とても危険なビジネスです」

勇人:「いつものことです」

GM/芹奈:「嵐王寺総帥。あなたには、フランスから生還した経験があると伺っています。そのあなたの運に賭けさせていただきたいと思います。完全に私的なお願いで恐縮ですけれど、どうか、夫と、私の仲間を、よろしくお願いいたします」

勇人:「(マキシムに)だいたい、概略は解っていただけたと思いますけど、捕まっている方を助けるのに、このメモリが必要である、という話ですね。これを持って、先行しているチームと合流して、目的を果たして、生還してください、ということです」

マキシム:まじまじと見る。

勇人:「メモリは一応僕がお預かりしておきます。ま、いつも通りのお仕事ですね。高名なストームナイトであるマキシムさんと、ご一緒できるのは非常に心強いです」

マキシム:「うん。俺も、マルセルや神崎と、会ってみたい」

GM:名刺を手渡して、「今回のビジネス用に契約した、携帯の電話番号です。もし、何か困難な状況が発生しましたら、ご連絡ください。通話料はこちら持ちですから、安心して掛けてきてくださって結構よ」

勇人:「ああ、それはありがたい。生きている回線は、できるだけ確保しておきたいのでね」

GM:ぷるるるるる。「失礼。電話が入りました」と言って、芹奈は立って向こうへ。別の携帯電話を取り出して、「はい。・・・はい? えーと・・・」

勇人:いい、きな臭さがしてきましたね。

GM/芹奈:「了解しました。では、その件も追加で伝えます」ぴっ。

マキシム:「どうした、芹奈?」

GM/芹奈:「ラウル・ブロック(*11)から、フランスへ渡ったと思しき、科学者の保護を、依頼されました。名前は、宝条ナオミ」

勇人:「ああ、先ほどニュースで話題にしていた」

GM/芹奈:「ご存知ですか」

勇人:「はい。今、時の人のようですからね」

GM:2人とも、〈説得〉もしくは〈手掛かり分析〉。これは因みに、“探索”のサイドストーリーです。

勇人:ひとり成功すればいい感じ?(コロコロ)15です。

マキシム:16。

GM:彼女が一躍有名になったのは、マウスでの、クローン幹細胞の生成実験に成功、というのが表向きなんですが、ラウル・ブロックが独自に調査したところによると、彼女は、既に人体クローニング実験を、成功させているらしい、とのことです。

マキシム:・・・・・。

GM:「論文にざっと目を通しましたが、すぐにでも人体への応用が可能である、もしくは既に臨床例があるかのような書きぶりでした」芹奈は続けて、「『彼』のクローンと、関係があるのかもしれません」

勇人:「ほうー。そうなると、また話は違ってきますね。面白い」

マキシム:嵐王寺に言います。「俺は、ラウル・ブロックに助けられたことがあるし、金輪を倒すことに繋がるんであれば、俺は是非この依頼を受けたい」

勇人:「そうですね、何かしらの手掛かりになるとすれば、大きいところです。少なくとも、他の組織に押さえられることは、避けておきたい」じゃあ、即、自家用ジェットで行きます。

GM/芹奈:「嵐王寺さん。少し、いいかしら」

勇人:「あっ、そうそう、僕ちょっと商談がありますので、失礼します」と言って、電話を取る振りをして、席を外します。

GM:空気の読める子は大好きです。

神崎:少年だよな?(笑)

GM:芹奈はじーっと見てます。あなたの顔を。

マキシム:「お、俺、何か悪いことしたか?」

マルセル:圧倒的な、覚えがないフェイス。

GM/芹奈:「別に、怒ってはいないわよ。ちょっと訊きたいだけ。今の貴方は、何のためにストームナイトをやっているの?」

マキシム:「唐突だな、随分と。・・・俺は、みんなの力を借りて、やっと家族を取り戻すことができた。ただ、俺は、金輪の所業を許すことはできない。奴を倒すまでは、戦い続けようと思っている。俺の、ストームナイトとしての、意義は、奴を倒すことだ」

GM/芹奈:「それなのに、フランスに行ってこい、なんて、私もとんだお願いしちゃったかしら」

マキシム:「お前の仲間であるなら、きっと、いい奴なんだろうな」

GM:うん。これがナチュラルに言えるマキシムは、素敵だと思います。

マルセル:良い男だよね。
 

 芹奈は何か言いたげに上を向いて瞳を閉じ、
 少しの間、2人の影が重なる。
 

マキシム:ちょっと照れて、「行ってくる。神崎とマルセル、それから、いつも俺を助けてくれる嵐王寺。捕まった100人を助けて、あいつらと一緒に、帰ってくる」

GM/芹奈:「待ってるから。気をつけて行ってきて」

マキシム:「任せろ」

勇人:じゃあ、話が終わったところで戻ってきて、「さて、準備できましたよ」

GM:ぴんぽーん♪ 「はい。えっ? 何、この胡蝶蘭?」って状況になってますが(笑)。

勇人:「じゃあ、旦那さん、借りていきますんで」

GM/芹奈:「えっ? えっ、ええっ?」

勇人:振り向きもせずに、「お花を贈ってよかったでしょ?」

マキシム:「そうだなー、こういう手があるのか」(笑)

 
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