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TORG往復書簡リプレイ

『Pandora's Box』

第一幕

 
 依然として、私の研究に関する騒動は、沈静化する気配を見せない。
 特にキリスト教のお国が、あれこれ口やかましい。

 "To many surprised scientists, this research has opened Pandora's box."

 『多くの科学者達を驚愕させたことに、この研究はパンドラの箱を開けてしまった』ですって。
 神様とやらがもたらした倫理観が、研究成果を否定したくてたまらないみたい。

 言いたい人には言わせておきましょう。
 私の研究成果は揺るがない。「生き証人」が、ちゃんと存在するのだから。
 


 
シーン1

 
GM:さて球太郎くん。あなたは、ベルギーのブリュッセルで、ニッポン人女性に声を掛けられました。「私はランスに行くの。一緒にどう? 相乗りすれば、タクシー代安く済むでしょ」あなたの目的地も同じランスです。さぁどうする?

球太郎:えーと、そのニッポン人女性は、海優さん(*1)ですか? リプレイに登場しているなど、縁のありそうなストームナイトですか? モロバレな敵の変装ですか? それとも、全く未知の女性ですか? その場合、一見して年上? 年下?

GM:ストームナイトでも、敵の変装でもありません。あなたとは縁もゆかりもない人物ですが、テレビで顔を見たことがあります。画期的なクローン実験に成功したと論文を公表し、時の人になったけど、誰も再現実験に成功せず、『◯◯細胞は、ありまぁす!』(ドヤ顔)という会見を行った、宝条ナオミさん30歳です。

球太郎:(笑)

GM:ところで、同行者は必要ですか? 今回の依頼人はマキシムの妻の芹奈さんなので、マキシムと一緒でもいいですよ。

球太郎:導入はひとりで頑張りたいので、後程合流を希望します。欲を言えば、ピンチに乱入が理想です。どなたが来てくださるかはお任せで!

GM:了解です。因みにあなたは、「肉体に戻す必要のある魂100人分」を、メモリーカードに入れて持っています。芹奈さんからは、ランスには「神の救護院」なる病院があり、100人もの肉体が安置されているとすれば、そこではないか、と聞いています。

球太郎:教会と、神の救護院は、別の場所ですか? 同じ敷地内ですか?

GM:教会は祈りの場、救護院は病院、しかも、無償でサイバーパーツ移植手術をしてくれるところなので、別物と考えてもらっていいです。

球太郎:なら、魂のメモリを所持してる以上、救護院に真っ先に向かうと思います。ただ、芹奈さんから作戦手順について聞いてたら、それに従います。

GM:魂を肉体に戻すには、サイバーデッキを使った高難易度の判定が必要です。あなたにはサイバーデッキは使えませんから、協力者とランスで合流する予定になっています。なので救護院の場所を突き止めるまでを、第一目標にしていただければ。

球太郎:ふむふむ。

GM:もう少し説明しておきますと、ランス(Reims)は、歴代フランス国王の戴冠式が行われた街で、世界遺産のノートルダム大聖堂が有名です。しかし治安維持のために警備は超厳重です。9つの警察大隊が駐在しています。

球太郎:そうか、そんなに警備が厳しく、しかも不案内な土地なら、怪しまれないように救護院に近づき、様子を見るだけでも1ミッションですね・・・。では、「いいっすよ」と申し出を快諾して、タクシーを探します。タクシーを捕まえたら、自分から名乗り、相手の名を聞きます。礼儀なので。「俺、野原球太郎っていいます。フリーの野球選手なんすけど、今はまあ色々と。あなたは?」

GM:「野球選手? あっ、貴方があの『野原選手』? 大活躍よね貴方」明らかに嘘をついてます。何故ならあなたの登録名は『球太郎』だからです。

球太郎:渋いところを突いた演出にニヨニヨ(笑)。プラス、大活躍という言葉にも引っ掛かります。確かにチームを渡り歩くごとに優勝一歩手前に導くが、惜しいところで金輪の邪魔(監督・選手の引き抜きや襲撃、スポンサー企業をM&Aし球団自体を潰す、など)が入り、なかなかメディアには出ないのです。話を合わせてくれてるのかな、おべっかにしては、意外と下手だな、って感想を抱きます。

GM:そんな彼女は、「ナオミ。宝条ナオミ」当然知ってるでしょ、という顔。

球太郎:「ああ、あの」と頷いて、研究について色々聞きます。自信ありげなので、乗せるような感じで。クローンということで、もしかして任務に関係あるかもしれないので。そうしながら、ミラーと運転者証に目を走らせます。
 

 ナオミは、水を得た魚のように、研究の説明を始める。
 内容が高度すぎて、球太郎があっという間についていけなくなっていることにも、気づいた様子はない。
 上機嫌で話し続け、最後に自信満々な笑みを浮かべて言う。
 

ナオミ:「みんな私の研究のすごさを理解できないのよ。何を言われたって、揺るがないけどね。だって、生き証人がいるもの」

球太郎:「生き証人?」

ナオミ:「これは内緒だけどね、私はもう、ヒトクローンの臨床実験に成功しているの。有名人よ。きっと聞いたら驚くわ」

球太郎:その「有名人」が誰なのか非常に気になります。聞けるなら聞きたいです。後から描写、もしくは今は教えてくれないなら、それで構いません。

ナオミ:「実はね、招待状を受け取ったのよ。フランスの科学アカデミーから。ほら見て。『貴女を名誉アカデミー員に任じます』って」

球太郎:・・・本当かなあ? ニッポンであんだけ叩かれてるのに。

GM:ここでシーンを切ります。サイドストーリーカードを1枚差し上げます。“正体”、“疑惑”、“人物誤認”、“仇敵”、“ロマンス”、“個人的利害”、“探索”。どれがお好みでしょう?

球太郎:騙されてるのでは、という明確な疑惑まではいかないが、(このお姉さん、危なっかしいな! 何だか、ほっとけねえ!)ということで、サイドストーリーは“ロマンス”を希望します(笑)。

 
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