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TORG往復書簡リプレイ

『Pandora's Box』

第二幕

 
シーン1

 
GM:第二幕は、先ほどの続きで、相談するシーンからスタートです。

マルセル:「ここは人目がある。場所を移すぞ」

球太郎:「わかりました! ナオミさん、ディ様、行きましょう!」

ディアン:「ディ、様・・・? ニッポンで、女性に囲まれて呼ばれたことがある。不思議な気持ちだ」

球太郎:「ちょ、それってスナックとかキャバクラじゃないんすかー!? そんなのと一緒にしないでくださいよー!」と、笑いながら文句を言います。恐らく、誰かに無理矢理連れて行かれたのだろうとは思いますが、意外な一面を見て、少し緊張が解けます。

ディアン:???

球太郎:あ、キャバクラ説を勝手にぶちあげてしまいましたが、「囲まれて云々」が全く違う意味ならすぐセリフを取り下げます。

GM:ディアンは、キャバクラという単語も概念も、理解できていません。取り下げる必要は全くないですよ。こういう会話の噛み合わなさが、TORGの醍醐味です。

球太郎:さすがはディ様、器が大きいであります。セリフはそのままに、噛み合わなさをしばし楽しみます。「あ、えーと、キャバクラってのはですね・・・いや、いいっす! ディ様は知らなくていいことっす。断じて知る必要のない、無駄な知識です。すんまっせん!」

マルセル:・・・・・。

球太郎:ここまで必死になるのは、そういうものにあまりいい印象を抱いてないからです。ニッポンの社会人チームに助っ人でいた時にベテラン選手に連れてってもらったことがありますが、どうにも楽しめなかったのです。「しかし、キャバクラでもなく、素で女性に囲まれるなんて、さすがっすね!」目をキラキラさせて尊敬の意を表します。

GM:因みに、女性に囲まれた云々は、ユーソリオン撃破後にニッポンを訪れた際、カリスマオーラを発揮しすぎて(〈魅了〉で達成値31とか出してしまって)、ヨン様のような大フィーバーを巻き起こした(*5)ことに由来します。

ナオミ:「何の話をしてるの? この人たち、野原くんの知り合い?」

球太郎:はっ、そうだった。ナオミを、任務の途中で行き合ったニッポンの学者さんだと紹介し、「実は俺のミスで・・・」と切り出して荷物を取り戻したい旨を伝えます。

マルセル:「女。お前は野原に命を救われたのだ。非難するのはお門違いも甚だしい」

GM:マルセルが冷たく言い放ちます。サイバー教会に従わない「異端者」は、神の救護院に連行され、洗脳映像を延々見せられた上にサイバーウェア移植手術を受け、神の忠実なる僕にされてしまうそうです。

球太郎:「すみませんマルセル先生、ほんっと、俺がドジだったんす。ナオミさんを責めないでやってください」球太郎に配慮してくれた言葉だとわかりつつ、頭を下げます。

ディアン:「先生・・・?」

マルセル:「まあいい。荷物の中身は何だ」

球太郎:「荷物の中身は・・・」迷いますが、先生を信用して口を開きます。「クローン研究の成果です。先生の教義からは異端かもしれねえけど、絶対、人の役に立つものだと思うんです。この人の、自信たっぷりの顔を見ればわかります。人を、幸せにするために研究してるんだって。だから、絶対取り戻したいんす!」

ナオミ:・・・・・。

マルセル:「(ため息をついて)だといいがな。人が人を生み出す、クローン研究は、いわばパンドラの箱だ。世界に災厄をもたらすか、それとも希望を与えるものか」

球太郎:「それって、俺たちの力もおんなじなんじゃないんすか? 俺たちのストームナイトとしての力、ポシビリティだって、使い方によっては災厄になる。でも、俺はこの力を希望にしか使わない。ディ様だってそうしてきたし、先生だってそうでしょ?」

マルセル:・・・・・。

球太郎:「先生も彼女と話せばわかります。彼女も俺たちと、きっとおんなじ目をしてる」

GM:ふと隣を見ると、自信に満ちていたはずのナオミの表情が曇っています。

球太郎:「なーに湿気たツラしてんですか!(背中バシバシ)大丈夫、荷物はすぐ取り戻しますから、またあのドヤ顔に戻ってくださいよー!」元気を出したくて、わざと伝法な口調になります。

ナオミ:「(首を横に振り)迷惑掛けるのも悪いから、荷物は自分で取り戻すわ。野原くん。ここでお別れしましょ」

球太郎:それを聞いて、怒ります!「なーに言ってんですか! あのね、ナオミさんが、ひとりで、あの荷物取り戻せると思ってるんすか?」激おこぷんぷん丸です。勿論、心配だからです。好意の裏返しが嫌悪、対極が無関心とすれば、この怒りは好意の行き過ぎといったところでしょうか。

ナオミ:「何よ。何で怒ってるの。わけがわからないわ」

球太郎:「通報されたのはナオミさんなんですよ! その本人が直接動いたところで、のこのこ捕まりに行くようなもんっす! その点、俺なら」何故か顔を赤くして、偽造身分証明書を突きつけて、「こんなこっぱずかしい格好までして写真撮った、この身分証を使えば、俺の面は割れてないも同然! 取り戻す確率は格段に上がるっす!」

ナオミ:・・・・・。

球太郎:作戦は単純で、偽造身分でタクシー会社に運転者証の内容で照会して、そのタクシーに来てもらい、トランクの中の荷物を返してもらうだけです。「俺たちストームナイトが動くのは、みんなの希望のため! そのために、あんたの研究は絶対必要だって、俺ぁ思ってますから!」

GM:熱い言葉、心に響きました。ありがとうございます。

マルセル:「解った。解ったから、その身分証をしまえ。(わずかに眉を寄せ)ディアン卿には見せるな。彼は若干融通の利かないところがある。身分を偽るのは悪いことだ、と言い出して、作戦を台無しにしかねない」

球太郎:「あっ、そか! すんませんっ」慌てて身分証をしまいます。アイルのそういう性質は頭に入れてたはずなのに、またまたうっかりを恥じます。

マルセル:「気にするな。彼が極端なのだ」

ナオミ:「野原くん。貴方、ストームナイトなのよね。外の世界の人間と戦って、地球を取り返そうとしてるんでしょ」

球太郎:「勿論っす! そして・・・」もうひとつの名乗りを心に浮かべ、飲み込みます。・・・ストームナイトであると同時に、あなたを心配する、ひとりの男である、と。
 

「だったら、私がこの地球でどうなろうと、貴方には関係ないはずよ」
 

球太郎:ええー!? つまりどういうことっすかー!?(悲鳴)

 
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