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TORG往復書簡リプレイ

『Pandora's Box』

第二幕

 
シーン1(承前)

 
―球太郎のメール―

 せっかく我ながらいいセリフを吐いたと油断していたら、すんごい謎をぶん投げられたっ!

 候補としては・・・
・ナオミはクローンである
・しかも、金輪のクローンである
・ナオミはハイロードである
・もしくはその眷族である
・ナオミはグレートオールドワンもしくはその眷族である(ゲームが違う!)
・ナオミは天下第一武侠(*6)である(やだそれ素敵!)

 諸説あっても、球太郎が言うべきはひとつです。
 

ナオミ:「私は、外の世界から地球にやって来たの。私の本当の名前は、No.7703。ナオミは単なる当て字」

GM:彼女は植民地(ニッポンテック)の宗主国にあたる、マーケットプレイスから来ました。イメージはニンジャスレイヤーのネオサイタマ。科学技術は地球より進んでいて、宗教観・倫理観は希薄。だからクローン技術をタブー視していないのです。

ナオミ:「No.3327。地球では、金輪産業CEOの金輪龍一って名乗ってるわね。あの人のクローンを造ったのは、私なのよ」

ディアン:「なに・・・!」

球太郎:ががーん! 衝撃の、というか、予想はしていた、と言うべきか。そうかー、金輪ナンバーズのひとりだったんですね。いっそ天下第一武侠なら、どんなによかったか!(まだ言うか)

ナオミ:「どう、驚いた?」

ディアン:「驚いた。マキシミリアンとオレが、戦った、金輪龍一の姿のゴーレム。それを、ナオミが・・・」

球太郎:「あんたが何者であろうと、関係ねーよ」こともなげに言い放ちます。
 

「俺たちストームナイトが動くのは、みんなの希望のため!
 俺はまだまだ未熟だから、みんなってなぁ、とりあえず手の届く範囲!
 もちろんあんたも含む! 関係なくなんかねーよ! それに・・・」

 続く言葉を、今度は飲み込まなかった。
 さっき飲み込んだ言葉を、より不器用に紡いだ。

「俺ぁ、あんたがタクシーで見せた笑顔を、もっともっと見てーんだ。
 あんたの自信満々の鼻持ちならないドヤ顔が・・・好きなんだよ!!」

 ストームナイトの使命とは対極の、それはごくごく個人的な、告白であった。
 

ナオミ:「自信満々に見えたの? 見栄を張っていただけよ。でも・・・昔は本当に、自信を持っていた気がするわ」

球太郎:黙って続きを待ちます。

ナオミ:「人々を幸せにする研究だって、信じてた。けれども、クローン技術は一部のお金持ちに独占されるだけだった。地球に来て大々的に発表すれば、もっと普及するかと思った。けれども、実験自体が成功しなくなった。地球の技術が未熟なのがいけないのよ。だからフランスへ来たの。技術的にずっと進んでいるフランスなら、研究を再開できる、と思ってね」

マルセル:・・・・・。

ナオミ:「結局、騙されてたのね、私。これからどうしよう。空っぽに、なっちゃった」

球太郎:しばしの沈黙。それから、ゆっくりと、だが決然と、言葉を紡ぎます。「まだだ・・・まだだよ、ナオミさん。落ち込んでる暇はねえ。まずは、あの荷物を取り戻さなきゃ」

ナオミ:「えっ?」

球太郎:「教皇領があんな回りくどい手でナオミさんを騙してまで手に入れようとしたデータ、向こうに渡っちまえば、ろくでもねえことに使われるに決まってる。それを取り戻したら・・・ナオミさん」目と目をまっすぐ合わせ、「こんな辛気臭いとこはオサラバして。自分が空っぽだと思うなら、またひとつひとつ取り戻しゃいい。ニッポンでだってどこでだって。こつこつやりゃ、あんたならきっとできる。足りない技術は、あんたが補えばいい」

ディアン:(静かに頷く)

球太郎:「何で、『向こう』から『地球』に来たのか。人を幸せにするため・・・。今のを聞いて、なおさらそう思ったぜ。その気持ちを忘れない限り、あんたもきっと、ストームナイトさ」

ナオミ:・・・・・。

球太郎:「俺たちの仲間にならねえか? 俺は、あんたの研究をどこまでも応援する。今の任務が終わったら、護衛を引き受けたっていいぜ」

GM:ナオミはしばらく黙っていましたが、「とりあえず、荷物のことは頼むわね」と言って、話を終わらせます。彼女の正体関係で、随分引っ張っちゃいましたが、球太郎が「任務」と言ってくれたので、シーンチェンジ。本筋に戻りましょう。さっきの5種類のカードから、もう1枚選んでいいですよ。

球太郎:ありがとうございます! 2枚目のカードは“モノローグ”でお願いします! あと質問ですが、マルセル先生は魂を取り戻すための〈サイバーデッキ操作〉技能を所持してるんですか?

GM:はい。マルセルは自前のサイバーデッキで、肉体に魂を戻す判定を行うことができます。いつどんなシチュエーションでそれを実行するか、名案を考えてくださいね。

球太郎:名案かー。難しい! やはり“アイデア”を選ぶべきか?(笑)

 
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