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TORG往復書簡リプレイ

『Pandora's Box』

第三幕

 
シーン1

 
GM:マルセルは、レジスタンスのポールに通信機を渡します。そしてナオミに何やら耳打ち。ナオミは考え込むような表情で球太郎を見ています。が、あなたは気づきません。

ディアン:「球太郎、共に、力を尽くして戦おう。病院騎士がきっと出てくる」

球太郎:「はいっ!」思い出すのはエジプトでの事件。あの時は所長たち先輩ストームナイトについていくのがやっとで、「作戦を立てる」ということについて上手に参画できていませんでした。今回のように、自分の発案が検討され、受け入れられるのは、嬉しいものです。あの時から少しは成長できたのだろうか・・・。

GM:ディアンは鞘から抜いた小剣を額の前に掲げ、祈るように一度、瞳を閉じます。開いた瞳にみなぎるのは、守護者の決意。

ディアン:「ストームナイト、ディアン・オブロー。100人の罪なき人々を、返してもらいに来た」
 

―球太郎のメール―

「すげえ・・・気迫・・・」

 ビリビリと空気まで震えるオーラに、
 救護院を守る勢力はこのたったひとりに警戒心を引き付けられ、かつ、飲まれて動けない。
 なおも救護院の内部から増援が出てきては、威圧され立ち尽くす。
 この騎士はたったひとりで、救護院のほぼ全勢力に警戒を向けさせ続けるだろう。
 そして、味方はおろか敵すら誰ひとり傷つけることなく、涼しい顔でこの場を制圧してしまうだろう。

 これが、アイルの英雄・・・尊敬するマキシム兄貴のライバル(*11)・・・
 ストームナイト、ディアン・オブロー!!

 球太郎は、ただ、うなずきをひとつ。
 目線に最大限の感謝と敬意を込め、マルセル先生とともに手薄になった本丸に乗り込んでいく!
 

球太郎:すれ違いざま、ディ様に“ドラマ”を渡します。その際、ディ様は持ってるけど死んでも使わないであろう“逃走”と交換します! これって可能ですかね?

GM:本来NPCはカードを持たないんですけど、面白いのでカード交換OKにします。“逃走”カードは一番先に場札にしなくてはいけないルールなので、現在、他のカードはまだ使えません。

球太郎:ありがとうございます。さらにこの後、カード交換でマルセル先生に“逃走”を渡して、非戦闘員と一緒に安全に逃げてもらおうと思いましたが、可能でしょうか?

GM:いいですよ。マルセルから交換でもらったカードは“ヒーロー”です。NPCとの交換はイレギュラーな裁定なので、今後は当てにしないでね。手持ちの4枚で乗り切ってください。

球太郎:わかりました! ただ、最後にひとつだけ。(右京さんっつらで)カード交換の本命は、“偉業”をマルセル先生に渡したい! ということなんです。可能でしょうか?

GM:そこまで考えておられるなんて、TORG遊ぶの何回目? 感動しました。“偉業”の交換も、OKです!

球太郎:ありがとうございます! TORGは、今回が3回目ですね、HAHAHA(笑)。

GM:交換するカードは何がいいでしょう?

球太郎:サイバーデッキの判定に使わないであろう、“アドレナリン”を、先生からもらってあげたいです。実際の交換は、球太郎が戦闘で、先生がサイバーデッキで、どちらかの見せ場宣言の時ですね。渡す時用に、無茶なセリフを考えてますから。現在の手札は“モノローグ”、“ヒーロー”、“敵方失敗”、“偉業”です。

GM:(無茶なセリフって何だろう・・・)ディアンの行動は、名誉の法則で敵方にモラル崩壊(彼がこのラウンド無傷の場合、敵は逃走)を与え、〈威圧〉+攻勢防御(複数回行動)による積極防御です。敵の大半を逃走させたところで、病院騎士との対決。複数人相手でも一歩も退かずに数ラウンド戦うことはできるはず。

球太郎:ディ様すげえ! こうしてルールに裏付けられたものを読むとますますかっこよく、痺れるばかり!
 

「お前たちでは、オレたちを止めることはできない」
 レジスタンスを率いたディアンが教会警察を睨み、睨まれた者は散り散りに逃げ出す。
 ザッ、ザッ、と靴音を響かせて現れたのは、病院騎士たち。
「背教者マルセルの姿が見えんようだが・・・突破されたということか」

「背教者などではない。マルセルは、ストームナイトだ!」
 

GM:美術館内部での妨害はないも同然。3人は余裕を持って進みます。美術館で最も細長い‘時の展示室’の突き当たり、下り階段の手前に、あの有名な絵画、『民衆を導く自由の女神』が飾られています。

マルセル:「! ここだったか」

球太郎:「これが・・・!」教科書の挿し絵とは全く違う! ビリビリと、オーラのようなものさえ感じる。それでいて暖かく・・・そして、熱い!

ナオミ:「不思議。この絵を見ていると、未来を信じてもいいかな、って気持ちになる」

球太郎:「この絵には、ポシビリティが宿ってるのかな」そんな埒もない考えが、ぽつりと口をついて出ます。

GM:ご明察。この絵が見る人に希望を与えるのは、ポシビリティがこめられた物品だから。つまり、この絵は「コアアースのエタニティ・シャード」です。

球太郎:えっほんとに! びっくりです!

GM:エタニティ・シャードからは、ポシビリティを引き出して使うことができます。グループパワーと呼ばれる特殊能力を持つものもあります。ただし制約があり、この絵の場合「自由を求める民衆を妨害する行動には使えない」。だからサイバー教皇領には宝の持ち腐れでした。〈リアリティ〉技能で調べると、グループパワーが判明します。遠隔地へ繋がる門を創造する【ゲート】です。

球太郎:【ゲート】なら、100人の解放に成功したら、先生と非戦闘員と絵もろともパリに転移するのはありですか? “逃走”の効果として取り扱ってもいいかも。

GM:私もまさにそれを“逃走”の効果として考えていました。ただ、パリまでひとっ飛びは無理っぽい。〈リアリティ〉基本値を距離に換算するため、あまり遠くまでは移動できないようです。マルセルは片手で額縁に触れて言います。

マルセル:「この絵は元々パリにあった。俺は、これをパリに戻したい」

球太郎:「先生が、助け出したいものは、これだったんすね!」心がさらに高揚します。マルセル先生が『この場所に用がある』と言っていた、その意味を・・・「仲間の願い」を知り、それを「叶えられる」という喜びからです。

マルセル:「そうだ」

球太郎:「合点承知です! この希望の絵を、パリに返しましょう!」絵を大事そうに外し、その辺にある保護カバー(詳しくないですが、とにかく、絵を保護する入れ物的な何か)にそっとしまい、丁寧に背負います(*12)。そして、捕らわれてる人たちを探してさらに先を急ぎます!

GM:球太郎が絵を背負った直後、金属のきしむ音が階下から聞こえてきます。
 

 一方その頃――

 病院騎士のサイバーアイに、警告メッセージがオーバーラップする。
「『侵入者が警戒区域を突破』、だと? 小癪な・・・」
 病院騎士団長は、続けざまに指示を飛ばす。
「地下への階段を封鎖せよ。ドローン・ウルフ及び‘ウォッチャー’を放て」

 そして、騎士団長は、銃口をディアンではなく、レジスタンスに向け、ビームで薙ぎ払う。
「! この・・・っ!」
 怒りをあらわにするディアン。難を逃れたポールが通信機に叫ぶ。
「マルセルの旦那! 地下だ! 兄貴たちは地下にいる!」
 

GM:ポールの通信を受けたマルセルが階段の下に目をやると、隔壁が閉じつつあるのが見えました。さらに、機械化された狼の群れが、‘時の展示室’を横切って走ってきます。どうしますか?

球太郎:ナオミさんの手を引いて、ダッシュします! 地下に入り、囚われの人たちをマルセル先生が直接見ることのできる場所を、主戦場にします!

 
NEXT → ルーブル・ランスの地下で、一行を待っていたものは……
 


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