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TORGリプレイ

『RELIVE』

 

第一幕

 
シーン4 深窓の姫君
 

エレベーターのドアが閉まると、場がしんと静まり返る。
空気が変わったのを見計らって、あやめが口を開く。
「ご承知だとは思いますが、ここからの話は、くれぐれも内密にお願いいたします」
 

シオン:マスター、疑惑の法則(*10)を発動させておきます。こいつ、信用できねえ。

GM/あやめ:「皆さんも知っての通り、御三家というのは、このニッポンを司っている、中枢です。しかし最近、御三家の血筋に繋がる、新たな後継者となりうる人物の存在が確認されました。我々のビジネスは、当然能力主義が前提で、世襲による継承というのは行われないのですが、それでも、その人物の存在が、御三家を脅かす可能性となりうるのも事実です。もしハイロードの手に渡ることがあれば、当然ながら、ハイロードはニッポンに対して、何らかの要求をしてくるでしょう。または、その人物が鍵となって、どこかに眠っていると言われる巨大な資産が動く、という可能性もあります。これは、充分に、世界経済が大打撃を受ける引き金となり得ます。そして、ニッポンの企業と繋がる、多くの国々に、影響は波及することでしょう。それによって起こる混乱というのは、天文学的数字になると推定されます。ここまでよろしいですか?」

ディオルド:「言い回しは回りくどいが、理解した」

マッコイ:「まぁ、確かに、影響を受けないのはリビングランドぐらいか」

GM/あやめ:「皆さんにお願いしたいのは、その人物の保護と回収です。彼女は、我々が存在を確認した時には、保護者と目される人物の手によって、国外に留学をしていました。海外まで、敵勢力に気取られることなく飛び、彼女を保護していただきます」

ディ:「海外、とは?」

GM/あやめ:「アメリカです」

シオン:「アメリカのどこか、までは判っていないのか?」

GM:そうすると、PDA端末を取り出して、ぱっと後ろに見せるんですけど、「先日、リビングランドに飲み込まれた地域です」

シオン:あー、やっぱり。「それはぜつぼうてきだなー」(笑)

GM/あやめ:「ただ、死亡したものとして処理をしてもいいのでしょうが、それはそれで、まずいことにもなるのです」

シオン:なるほどね。莫大な資産が、宙に浮くのもまずいか。

GM:「同時に、ハイロードの支配地域下に、彼女が存在し続けるというのは、非常に危険です。彼女には、ポシビリティ能力者としての才能の萌芽があったという報告があります。名前は、雪。雪様と申します」と言って、顔写真を見せてくれます。はかなそうな感じの、日本美人です。「多少、見た目より元気なところもあったようですが、生きていれば、ひとりで、心細い思いをしていることでしょう」

マッコイ:保護者以外の人間は?

GM:それ以外の人間の消息は杳として知れません。要するに、御三家の血筋に繋がる者が、裏でお金とか支援をして、生活状況を整えて、他に気取られないように、隠し子として育てていた、ということです。

大悟:「苗字は判らないのか?」

GM:そうすると、「聞きたいですか?」振り向かないですけどね。

大悟:「参考までに」

GM/あやめ:「聞かない方がいいと思いますよ」

大悟:思わず、周りの連中を見回しちゃいます。

ディオルド:でも、情報はあった方がいいと思う。

シオン:少なくとも、留学の時に何と名乗っていたかを訊きましょう。

GM:では、「三崎雪(みさき・ゆき)と名乗っておりました」あとは身長、体重とか、細かいデータを教えてくれます。まぁ、別に特筆すべきことはないですね。

大悟:「我々の仕事は、彼女の安全の確保、と考えていいのだろうな?」

マッコイ:「回収とまで言ったということは、ここまで連れて来るということか?」

GM/あやめ:「連れて来ていただくのが望ましいですが、こちらの指定する場所で引き渡してくだされば、それで構いません」

ディ:「その後、雪は、どうなる?」

GM/あやめ:「・・・私の関知するところではありませんが、手厚く保護されて、幸せにお暮らしになるでしょう。元々私たちとは、違う世界の住人なのです」

シオン:今の時点で得られる情報は、こんなモンかな。これ以上は多分、教えてくれないと思う。

マッコイ:「この作戦にバックアップは?」

GM:「必要であれば、いくらでも。ただし、表向き動かせる人員がどうしても限られてきますので、そこはご理解ください」と。因みに報酬の話は、充分、納得できるだけの金額を提示してくれます。

ディオルド:「貴女のところの、家の威光は、使っていいのか? つまり、事がお家騒動なのだから、貴女の家に対して、敵対する家があるはずだ。そこが妨害してくる可能性がある。ならば、少なくとも、貴女の家の者から狙われるようなことは避けたい」

GM/あやめ:「それが広まることがない状況が、確認できるのであれば、使っていただいても構いません」

ディオルド:「確認などできると思うか?」

GM:要するに、暗に「やめといた方がいいですよ」と言ってますね。あとは、ほんの少し笑うニュアンスを感じるんですが、「絶対の信用などというものは、この世にはありませんよ」

マッコイ:100人いたら、99人は裏切り者か。

ディ:逆、逆(笑)。

GM/あやめ:「もし、相手に裏切られたくないと思うのであれば、相手に対して、交渉できる情報を握るか、裏切れないだけの関係を整えておくだけのことです。それ以外に相手の裏切りを阻止する手段はありません」

大悟:でも、裏切るヤツは裏切るけどな。ニッポンテックだし。

GM/あやめ:「時として、人の心はままならないものです。ですから、今回は、『信用できる人』という人選を、伴総帥にはお願いしました」

マッコイ:「ひとつ訊きたい。総帥はこの仕事の内容を知っているのかな?」

GM/あやめ:「薄々は」

マッコイ:まぁ、あの人のことだから(*11)全部知ってるってことだな。

シオン:いや、むしろ、人探しを頼みたいっていう形で、依頼を通したんじゃないかな。

GM/あやめ:「因みに、もしも彼女の死亡が確認された場合は、それが証明できる物品の回収、または証言を得たのであれば、それをお知らせください。場所が場所だけに、なかなか難しいとは思いますが、できる限りの捜査をお願いします。1週間程度かけても、何らかの成果が上がらない場合は、我々としては、彼女は死亡したものとみなして、 改めてそのように処置をさせていただきます」

ディオルド:「今後の連絡方法に関しては、我々の現場の判断に任してもらって構わないか?」

GM/あやめ:「解りました。できる限りこちらでもバックアップをさせていただきます。それからもうひとつ。はっきりとは申し上げられませんが、複数のレルムが動き出しているようです。ご注意ください。特に問題なければ、以上でよろしいですか?」

ディオルド:「これは個人的な興味なんだが、貴女はその、雪という人物と、知己はあるのかい?」と言って、エレベーターのミラーで、あやめの表情を窺い知ります。

GM:では〈発見〉で。+1あげます。

ディオルド:(コロコロ)達成値14。

GM:そうすると、彼女は目だけあなたの方を見て、「ございます」と。「彼女が幼い頃に、互いの関係は知らずに、遊んでいたこともございます」

大悟:じゃあ、その会話を聞きながら、こいつホントにそう思ってんのか、ということを、〈手掛かり分析〉してみていいですか?

GM:構いませんよ。どうぞ。

大悟:(コロコロ)目が悪いんで、ポシ使う。

GM:消します。

大悟:消された。達成値6じゃ解んないよね。

GM:ホントなんじゃないかなーと思います。心配している風ですよ。

ディ:だったら、あやめの様子を見て、「雪が、アメリカで、命の危険にさらされているなら、オレたちは、早く行って、雪を助けよう」

ディオルド:・・・こいつ、いい奴だ!(笑)

大悟:えーと、ナイルの正義のヒーローとしては、同意するしかないです。

シオン:じゃあ欺瞞に満ちた目で、「それはさぞかし心配でしょう」(笑)

ディ:怖ぇー!

マッコイ:口から出る言葉は普通なのに。

GM:彼女は、にこやかに笑って、「そうですね。お願いします。私も、心配でたまりません」
 

チャイムの音と共に、エレベーターが屋上に到着する。
ドアが開くと、そこでは飛行機の離陸準備が着々と進められていた。
 

マッコイ:まさか、俺の輸送機?

GM:バリッバリの新型(笑)。カッコいいっすよ。むやみに。

ディ:見たことのない姿のドラゴンだ。

GM/あやめ:「後ほどヘリと車の方は、送らせていただきます。パイロット等も用意しておりますので、中へどうぞ」

マッコイ:どうも操縦桿握らねぇで飛行機に乗るってのは落ち着かねぇんだよなー。

GM/あやめ:「それでしたら、パイロットに言って交代していただければ。お噂はかねがね伺っております」

シオン:とりあえず、〈発見〉で、外観に不審な物がくっついてないかどうかチェックします。

マッコイ:同じく。操縦席からチェックします。(コロコロ)10!

GM:10は振り足し。

マッコイ:16。達成値18。

シオン:達成値8。

GM:特に怪しい物は見つかりません。

ディオルド:「ちゃんと目的地までは着くさ。戻れるかどうかは判らないけどな」

大悟:じゃあ、ディオルドをちらっと見て、片方の頬だけで微笑みましょう。

GM:では、あやめさんは最後にみんなに対して、「姫のことを、よろしくお願いします」と言います。

ディオルド:・・・あやめさんは感情を表に出さない完璧な人だけど、GMは結構抜けてるから、今ので何か解ったよ(笑)。

GM:プレイヤー、深読み禁止!

シオン:はいはいはい。あなたのGMは常に正しい。

GM:あっちの方を向きながら言うなー!(笑)

ディ:ドアが閉まってから、溜息をついて、ボソッと言います。「何故、ニッポンの人間は、大切なことを隠す?」

大悟:「だからといって、あからさまに大騒ぎしたって、必ずしも話が好転するとは限らんだろう」

マッコイ:「それもあるが、人の心が金で動く時代だからな」

ディオルド:「必ず手に入れたい物は、誰にも話したくないものだ。そういう物は、誰しもひとつぐらいあるんじゃないのか? ただ、このニッポンには、多すぎるけどな」

シオン:「嘘を言うよりは、言わない方がましだろう」

ディオルド:あとね、可哀想なものを見るような目で、窓の外を見て、「それから・・・多分この会話、盗聴されてるから」(笑)

GM:だって外はチェックしたけど、中はしてないよね?

マッコイ:俺、操縦席から探したよ。

GM:操縦席だけだから。船内をちゃんと探さないと、見つからないです。

大悟:ナイルの人間は、基本的に裏表がないんで、盗聴されても問題ありません!

シオン:別に、盗聴されてまずいことは、言いそうにないからな。初めのうちは、情報を流して安心させとくのも手だ。

ディ:オレはひたすら悔しがっている。

GM:そういうような、色んな想いを抱えつつ、飛行機は、飛び立っていきます。眼下に、人々の欲望が渦巻く街を、眺めつつ。といったところで、第一幕終了。皆さんに1ポシずつ差し上げます。

 
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