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TORGリプレイ

『Samurai Overdrive!』

 

第一幕

 
シーン5 誰が為に金は流れる

 
「天下に勇名をとどろかす皆さんと、こうしてお話できるとは、光栄の極みです!」
 茶室の中で、織田社長は目を血走らせ、口角泡を飛ばして語る。
 

GM/織田:「ところで、わたくし実は・・・あの、刀剣ですとか、そういったものに目がありませんで」

ユウイチ:「それはまた。動物愛護が叫ばれるご時世に、すごい趣味を持っていらっしゃいますね」

GM/織田:「このようなことを言いますと、不謹慎と思われるかもしれませんが、刀剣や戦いといったものには、ある種の美があると思うのです」

リリアン:「そういうことでしたら、この2人ですわね」

GM/織田:「ということで、わたくし、チャリティを兼ねて、御前試合を、計画しておりまして!」

ディアン:ん?!

マキシム:お?!

GM/織田:「できることなら、ご参加願いたい!」

ディアン:「ちゃり、てぃ、とは何だ?」

GM:「寄附あるいは、お布施ですかね。集めたお金を、貧しい者たちに分け与えるために、行うのです」えーと、今のニッポンテックの日本語では、節税って言います(笑)。

ディアン:「そうか。オレたちが、寄附を、呼び掛ければ、いいのか」

GM/織田:「その通りでございます! 高名な騎士様たちを招いて、御前試合を開けるとなれば!」

マキシム:それを言った時に、ディアンの背中を突っつく。何かこいつおかしいぞ、って。

GM:他のみんなも、もっかい〈発見〉していいです。さっきより目標値下がってます。

リリアン:うん。敢えてやらない。

ディアン:オレもやらなくていいや。

闇影:(コロコロ)〈発見〉17。

ユウイチ:ポシ使う。(コロコロ)〈発見〉18。

GM:15を超えた人は、こいつおかしいぞって解ります。明らかに、血に飢えている感じ。

闇影:では、姿を隠したまま、マキシムに小さな声で、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

ディアン:カッコいい!

マキシム:うん、それは俺も思ってる。

リリアン:はい、GM。〈心理学〉で振らせてもらいます。

一同:おおーっ!

リリアン:(コロコロ)〈心理学〉21。いわゆるマトモな人かしら、どうかしら、って。

GM:えーとですね、ルール的には、〈心理学〉はあくまで対象を治療する技能であって、読心術ではないんですけど、受けた感じからして、この人は、カウンセリングを受ける必要があると思いました(笑)。ただ、ものすごくストレスが掛かって錯乱しているのか、それともそういう資質があるのかは、よく解りません。

リリアン:うん。

GM:放っとくとまずいんじゃない? お仕事休んだ方がいいよ? というレベル。で、目をぐるぐるさせながら、「皆さんの戦う姿を見せることによって、人々に、戦う心を取り戻させることが、このポシビリティ戦争を一日でも早く終わらせる手段だと、私は考えています」

ディアン:「? 戦う必要はない。オレたちが寄附を呼び掛ければ、先ほどのカナワ殿のように、寄附をしてもらえるのではないか?」

GM/織田:「ああ、騎士様は世の中がお解りになっておられない!」(笑)

リリアン:と、説教されるんだな。

GM/織田:「世の中には、パンとサーカスが必要なのですよ。でなければ人々は財布のひもなど緩めはしません。悲しいことながら。しかし、そうして集まったお金が、浄財として、人々の幸せのためになるのであれば、(顔を近づけて)よろしいではありませんか!

闇影:目をぐるぐるさせながら。

GM:完全に、ヤバい感じ。これは振らなくとも解るレベルです。ただディは、気付いたのが遅かった。もう、話がいい感じで盛り上がってる。

リリアン:そしたら、ディの肩にポンと手を置いて、「ま、戦う相手にもよると思うけど、少しはストームナイトの力を見せてあげてもいいんでなくて?」と言って振り向いて、「で、一体何をやらせるつもりなの? 場合によっては、やはり引き受けてはならないものもありますからね」
 

「よくぞ聞いてくださいました!」
 リリアンの問い掛けに対し、織田社長は、興奮した面持ちで、自らの計画を披露する。
 いわく、東京ドームを舞台に、ニッポン国総理大臣や、可能であれば帝も呼んで、
 かつての天覧試合を思わせるような一大イベントにしたい、と。
 

ディアン:てんらん・・・みかど・・・(ぐるぐる)。

GM:ディだったら、女王の前での馬上槍試合とかを、イメージしてもらえばいいんじゃないかな。

ディアン:なるほど、トーナメントね。「一対一の、正々堂々の勝負だな」

闇影:そうですね。だって、武道家には決闘ルールがありますから。

GM/織田:「可能な限り、多くのサムライたちに参加していただきたい。そうすれば、人々の財布のひもは緩むでしょう。というわけで、どうか、はいと言っていただきたい!」

ユウイチ:それは、騎士方2人がメインでしょうね。わたしはあまり戦闘向きじゃないので。

リリアン:大丈夫でしょ。騎士様ってずっと言ってるんだから。そもそもリリアンが人前で、罵るところを見たいわけ?

マキシム:いいな、それ。戦わずして勝つんだ。

ディアン:試合なの、それ?

GM:一部の人には、我々の業界ではご褒美です、になると思うんですけど(笑)。

闇影:すごいニッチじゃないですか!

GM:そんな感じで彼は、このまま参加の承諾を取り付ける気満々です。すげぇ身体を乗り出して、詰め寄ってる感じ。

リリアン:「社長さん。ちょっと訊きたいんだけど、誰と戦わせるつもりなの? お互いにやりあえって言うの?」

GM/織田:「私が集めた、予選を勝ち抜いた戦士たちと戦っていただきます。そして、当代一のつわものを決めるのです!」

リリアン:「天下一武道会、ってことね」

GM:「よくご存知で! 勿論、正当なファイトマネーもお支払いいたします」で、うんと頷いてくれそうな流れになったので、契約書を出してきます。

リリアン:「ま、この2人はやってくれるでしょ」と言いながら、さらさらサインする。

マキシム:待て、待て!

ユウイチ:いやいやいや! 中身読め中身読め。

闇影:駄目だよ。ファイトマネーの金額をそっと見てから、後ろにゼロ1個つけなくちゃ(笑)。

GM:確かにこれがもらえれば、でかいね、という金額ではある。でも、一大会で出すには常軌を逸した金額です。とりあえず50億って書いてあります。

ユウイチ:どう思う、リリアン?

リリアン:基本的には、お引き受けしてもいいんでなくて?

ユウイチ:(マキシムとディアンに)頑張ってねー。だっておれら2人は、頭脳労働担当だから。

闇影:私、情報収集担当。で、最後の最後に、「忍者キター!」(笑)

GM:持っていく気満々だー!

リリアン:汚い、さすが忍者、きたない!(笑)

GM:今の選択肢は、「契約書を読んでサインする/契約書を読まずにサインする」。あ、断ってもいいよ。断る場合は、それなりの理由を持って断ってくださいね。

リリアン:とりあえずざっと見るけど、普通の契約書でしょ?

GM:普通の契約書なんだけど、最後に、これで死んでも責任取らないからね、って書いてある。真剣使うから、殺し殺されになるけど、罪に問われたりしないから、好きに殺し殺されてね、って書いてある。

リリアン:それはしょうがないわよねー。

闇影:っていうか、こいつらそう簡単に死なねぇだろ。

ディアン:・・・ちょっと待て。

ユウイチ:それが書いてあるんだったら、2人に確認する。「こういう条件のもとだが、どうする?」

マキシム:織田に訊きます。「ルールはどうするつもりなんだ? お前の好きなようにやりたいんだろ?」

GM/織田:「御前の舞台で、真剣を持ち合って、文字通り真剣勝負ですよ。命のやり取りです。でなければ、真の戦いとは言えませんからな! まぁ別に、剣でなくてもよろしいわけですが」

ディアン:・・・・・。

GM/織田:「ああ、お2人は高名な騎士様ですから、手加減なさるのでしたら、どうぞご自由に。ただし相手は殺す気で向かってきますがね」

マキシム:「随分と血生臭い御前試合だな」

GM/織田:「今のニッポンには刺激が足りません。みな平和に飽いているのです」

マキシム:「ルールは合法の範囲なのか?」

GM/織田:「ええ勿論、合法ですよ。この契約書にサインした者同士で戦うわけですから、殺人罪が適用されることはございません!」

リリアン:インフォームド・コンセントかい!(笑)

GM:因みにマキシム、御前試合には、金輪龍一も来ます。もう一度、近づけるチャンスです。

マキシム:じゃあ、みんなが何か言う前に、契約書をひったくって、「俺は参加するぜ」

ディアン:信じられないという顔でマキシミリアンを見ます(笑)。

ユウイチ:うん。本人がやる気なら、こっちは、マネージャーですから。

GM:そうすると彼は、「サインしていただけるのでしたら!」って、もうマキシムしか眼中になくなってる(笑)。で、この人の気が変わらないうちに、早く帰ろう、みたいな感じになって、「では準備もありますので」と言い出して、そそくさと茶室を出た瞬間、携帯電話で、「あ、ジェイクPを」

ディアン:今、ジェイクって言った!

GM:公式NPCに、ジェイク・ノリ(*12)っていう、たちの悪いプロデューサーがいるんですけど、織田社長はそいつに、テレビ中継含めたイベントのプロデュースを依頼するようです。「御前試合の件だが、成立するから、早速準備を。ああ、金なんかいくらかかっても構わない!」声がだんだん、遠ざかっていきます。

ユウイチ:悪徳プロデューサーだってのは、名前聞けば思い出すよね?

GM:思い出します。一応契約は守るんだけど、ギリギリ。「放送コード? モザイク入れりゃいいんでしょ」みたいな。

マキシム:ひでぇ。

 
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