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TORGリプレイ

『Samurai Overdrive!』

 

第二幕

 
シーン5 己が信念を杖に

 
 姿をくらました闇影とディアンは、商安局の追手を逃れ、ぼろ服の男と共に一息つく。
 

ディアン:「怪我は、ないか?」

GM:彼はちょっと驚きながら、「あ、ありがとうございます」と言って、ぼろを取るんですけど、神官衣というか、ホントに昔の、古代日本的な感じの、動きやすい服を着ています。

ディアン:見た目の年齢は、どのくらいですか?

GM:20代前半。で、礼をして、「わたくし、武田と申します」

ディアン:つられて礼をします。

闇影:「ほう。その服、神官、いや、神職だな?」

GM/武田:「は。その通りでございます。不肖ながら、パランの教えを広めるべく、日々精進しております」

闇影:「何故、あのような無茶を?」

GM/武田:「あれが、わたくしたちが伝える、パランの教えだからです。若輩のわたくしには、あのような辻説法しかできませぬが」

闇影:「あれを辻説法と言うのか。かなり無茶だな」と、にやにや笑いながら言います。

ディアン:「オレも、そう思う」

マキシム:辻玉砕だよな。

闇影:「だが汝らの教え、言っていること自体は、半分は正しい」

GM:「ほう。もう半分の正しさというのは、どこにございますか?」そもさん!

闇影:「人間の欲望には、上限が無いのだ。そこで満足しないのだよ」

リリアン:汝の心が赴くままに。

マキシム:ファラリス(*21)か。

GM:そうすると、首を振って、「それが、過ちだったのです」

ディアン:・・・・・。

マキシム:パラン教って何? 神社の宮司?

GM:パラン教というのは、ニッポンテックの元世界、マーケットプレイスという世界で発生した宗教で、清貧を説いています。

闇影:利潤の法則がある世界で清貧を説く、という(笑)。
 

 マーケットプレイスの神話によると、かつて世界は「極楽」と呼ばれていた。
 極楽では何の争いも起こらず、人々は中睦まじく生活していた。
 ある時、ひとりの男が、豊饒な土地を発見してしまった。
 彼はその土地をひとり占めし、利益を得た。
 それを見た周囲の者たちの胸に、妬みや嫉みといった感情が生まれ、極楽は「極楽」ではなくなった。
 人々は嘘と偽りで己を塗り固めた。我先にと蓄財に励み、他人を信じられなくなった。

 開祖パランは夢を見た。
 死ぬ思いで働いて、蓄えた財産が、まるで砂上の楼閣のように崩れ去っていく。
 ・・・俺はなんとくだらない人生を送ってきたのだろう。
 金ばかりを追い求めたところで、何の意味がある?
 そう悟ったパランが広め始めた清貧の思想を、パラン教と呼ぶ。
 

GM:因みに、パラン教の信者は、マーケットプレイス及びニッポンテックで、ほぼ最上位のテロリスト集団、という位置づけです。

マキシム:へぇー。

GM:ものすごい勢いで虐殺とかもされたんですけど、わずかな生き残りが、わずかな可能性に賭けて、地球にやってきました。で、彼らは、清貧は説くんだけども、やはりニッポンテックの世界法則の影響を受けるので、いきなり人を信じたりはしません。

闇影:だって、100人いればひとりは必ず裏切り者の世界で、相手を100%信用するというのは、まずないでしょう。

ディアン:なるほどね。あー、もう、やり辛ぇ!

GM:ある意味彼らも、ニッポンテックの社会における裏切り者なので。「・・・ですからわたくしは、まだ若輩の身なれど、あのような辻説法をしながら、人々に清貧を説いているところでございます」

闇影:「あれはどう見ても自殺行為以外の何物でもないが、まぁそれは良かろう」と言ってから、「どうせやるならば、それなりの実力を身につけてからが良いのではないか?」と言って、〈武道〉で、彼がどの程度の腕前か確かめます。

GM:背後を取ろうとするわけですね。どうぞ。

ディアン:オレは、〈武道〉持ちではないので、2人のやり取りに対して、驚きます(笑)。

闇影:(コロコロ)24です。

GM:あー、無理だね。取られた取られた。

闇影:「その程度の力では・・・」かなり不満そうに。

GM:目をつぶって、「力があるからやるのではありません。やらねばならぬことだからです」

ディアン:・・・!

闇影:おおー。

マキシム:さすが宗教家。

闇影:かなり感心した風で、「なるほど。それは確かに真理である」

GM/武田:「千里の道も一歩からと申します。いかに道が遠かれども、歩かなければたどり着くことはかないませぬ」

闇影:「だが、途中で倒れれば意味は無し」

GM/武田:「であれば、わたくしの志を継ぐ者がまた歩き始めるでしょう」

ユウイチ:わー、すごいそもさんとせっぱ(*22)。

GM/武田:「そういった者をひとりでも増やすために、わたくしはこうして、辻説法をしているのです。命が惜しくて、パランの教えは説けません」

闇影:「なるほど。命が惜しければ正義はできぬのと同じか」

リリアン:なんでこの人たち、ニッポンに降りちゃったんだろう。ナイルに降りればよかったのに。

GM:ナイルに降りると、「お金なんてくだらねぇ!」って言ったら、みんなが「そうだね!」って言って話が終わっちゃうからです(笑)。

リリアン:やっぱり?

GM:正確に言うと、6割の人が、「そうだね!」で、4割の人が、「なんだと?!」

闇影:で、殴り合いが始まります。

ディアン:殴り合うと、善が勝つ。それがナイルの世界法則です。

GM:というのは置いといて。「見たところ、高潔な魂の持ち主とお見受けいたしました。わたくし、世事に疎いもので、お二方が、尋常ならざる力を持つことしか判りませぬが」

ディアン:名乗ります。「ストームナイト、ディアン・オブロー」

GM:久しぶりに、あなたの名前を聞いて驚かない人に出会った(笑)。「ディアン様と仰せですか」

闇影:「我が名は闇影。正義のために戦い、正義のために死ぬ誓いを立てて、今、ここにいる」

GM/武田:「素晴らしい。ニッポンは悲しい国になってしまいました。正義などと申すと、鼻で笑う者ばかり。何故、正義と口にしただけで、皆、胡散臭い者を見るような眼で見るのか。わたくしには、とんとわかりません」

闇影:「我にもわからぬ!」

ディアン:ねえ、オレが一番の常識人というこの有り様を、どう思う、みんな?(笑)

ユウイチ:すいません、一番の常識人は、今回、自分の船でイヤッホウ! って。

GM:今の彼は物欲にまみれている。

リリアン:その前に、異議あり! 元々一番の常識人じゃないだろ。

ユウイチ:ええーっ?!

闇影:一番の常識人は、リリアンの傍で、買い物に明け暮れてます(笑)。

ディアン:可哀想に。ソレイユも、染まっちゃってるんだ。

GM:ソレイユは今、ニッポンのいいトコ、スイーツなトコしか見てないから。

 
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