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TORGリプレイ

『Samurai Overdrive!』

 

第三幕

 
 宮本は、明くる日も引き続き、リリアンとソレイユの専属運転手を務めていた。
 セレブな2人を行列のできるレストランへ送り届け、迎えに来る時間を伝えると、
 少しでも夜のサービス残業時間を短くするために、会社へ取って返す。

 織田航空機の同僚たちは、これ幸いと、彼に電話番を押しつけて出ていく。
「俺ら、外でメシ食ってくるから」「余計な時間外労働はしない主義なの、俺」
 ひとりぽつんと残された宮本は、電話のベルの合間に日の丸弁当をかきこむ。

 一匹のハエが、彼の周囲をせわしなく飛び回る。
「鬱陶しいなあ、もう」言うなり彼は、何の造作もなく、箸でハエを捕まえる。
「あっ! ああー、しまった、箸使えなくなっちゃった」

 そんな彼の背後に、コツコツと、何かを告げるような靴音が迫る。

 ―――暗転。
 


 
シーン1 金の光は七光

 
マキシム:俺は今日、対戦相手と顔合わせしに行くんだよね。

GM:はい。多分、マキシムがひとりで出掛けて行って、その直後ぐらいに、他の4人が戻って来る感じですね。

ディアン:マキシミリアンは、いないのか。

マキシム:書き置きは残しとく。どこに行くって。

GM:そして、すれ違う(笑)。

ユウイチ:よくあることだね。

ディアン:何でオレ、ヒーローの帰りを待つヒロインみたいになってんだろ。「マキシミリアンが心配だ」って。おかしいよ!

GM:違う違う。これは、長年の相棒と、何故かすれ違い始めている、どうしよう、みたいな絵面です。

闇影:大丈夫だ。ふと気がつくと、一緒に帰って来たはずなのに、闇影がいない。

マキシム:ははははは!

リリアン:オイシいな、忍者!(笑)

GM:では、改めまして、第三幕最初のシーンです。
 

「・・・それは、何だ?」
 パイルバンカー。防弾チョッキ。眩しい白のスーツにテンガロンハット。
 応接テーブルに足を投げ出して座るユウイチの傍らに並べられた数々の品を見て、ディアンは言葉を失う。
 

ユウイチ:「新調した。やっと新調した!」

ディアン:「カネは、どうした?」

ユウイチ:「ん? 領収書!」

GM:織田航空機の、領収書で、名前は上様。

リリアン:要するに、内部でまわすってことですね?

GM:その通りでございます!

ユウイチ:「おれ、今まで一生懸命働いてきたけど、ちゃんとしたお金って、入った試しがないんだよねー」

GM:そうそう。頭の上で誰かが言うわけですよ。『ユウイチさん。そろそろ貰う物もらっていいんですよ?』

ユウイチ:「良くてとんとん。それも大概、みんなの無茶に付き合ってとんとんだったからね。修理代掛かったりとかね。そろそろこっちの無茶も聞いてもらってもいいよね?」

ディアン:「ユウイチ・・・」

GM:あと、営業さんに、超いいモン食わしてもらいましたよ。接待費で落ちるから。お土産の寿司折りまで渡された(笑)。

ユウイチ:ジャパニーズお寿司!

マキシム:やべぇ、さっきより、金輪に対しての好感度が上がってるよ。ニッポンテックを満喫してる。

ユウイチ:「いやー、いいねー、ニッポンは!」

ディアン:「そうか? オレは、全く違うものを見た」かくかくしかじか。

ユウイチ:「はー、そっかー、ニッポンも変わっちまったなー」

リリアン:視聴者からしてみると、「変わっちまったのはお前だよ!」(笑)

GM:明らかに今、「ニッポンも変わっちまったなー(完全に他人事)」ってトーンだったし。

闇影:己のことは棚上げかよ!

ユウイチ:ニッポンテックに完全に毒されてます。〈魅了〉されたのでね。ということにしといてください。

GM:はい、オッケーです。

ディアン:「オレは、さっきから気になっていた。その、メイシという、名前の紙を見せたら、何でも手に入る。おかしくないか?」

マキシム:おっ、問い掛けたな。

リリアン:じゃあ、丁度そこに帰ってこようか。

GM:帰ってきて、丁度ディの声が聞こえてきた感じですかね。宮本くんは、あの人何言ってるんだろ? って顔してます。

リリアン:「ま、文化に馴染めない人もいるし、人と人との繋がりもあるし、色々よねー。ところで明日の試合は何時から?」

GM/宮本:「はい、明日はこういうスケジュールになってます。今日のようにお迎えにあがりますけど、本社から、何かあった時、フォローにまわるようにって言われたんで、しばらく連絡がつかないかもしれません」

ディアン:「リリアン。誰、だ?」

リリアン:「解りやすいように言うと、さっきの社長さんの、部下さん」

GM:「織田航空機営業三課に出向で来てます、金輪産業の、宮本と言います。はじめまして!」名刺を。

ディアン:「いや、いい(*25)。ミヤモト殿、覚えた。ストームナイト、ディアン・オブロー」

リリアン:ぽんぽんって肩叩いて、「そういう文化の人だから」

GM/宮本:「・・・・・。ああ、失礼しました」

リリアン:「じゃあ今日は、帰ってもらって大丈夫よ。また明日よろしくねー」

ディアン:「明日、どこかへ、行くのか?」

GM/宮本:「明日は、御前試合がございますので」
 

「あ、あと、失礼ですが、ディアンさん、でしたよね」
 宮本はすぐには去ろうとせず、ディアンに声を掛ける。
「ごめんなさい、ちょっと聞こえちゃったもので。でも、お金、大事ですよ?
 お金がないと世の中生きていけません。
 金がなくてもいいだなんて、そんな世迷い事は、パランの人たちだけで充分です」
 

一同:・・・・・。

ディアン:「カネは、他人から与えられるものだ。幸せの価値は、心の中にある。それは、誰かに与えられるものではない。オレは、そう思う」

GM/宮本:「でも、心の豊かさとは、金で買えるものです」

ユウイチ:代表、おれか(笑)。

GM:因みに、何となく彼は、さっきまでと全然違う気がします。そもそも初対面の相手に言わないよね、こんなこと。

リリアン:じゃあ、間に割って入ろうか。「そういう風に、物の価値観は色々だしね。さて、明日は、結構な戦いになるだろうし、今日はこのまま休ませてちょうだい。ディもさ、早く部屋に入ろう。ご飯食べなきゃいけないでしょ?」

ディアン:「え、オレは・・・」

リリアン:って言って、〈威圧〉(笑)。(コロコロ)とりあえず達成値10ぐらい。

ディアン:解ってるよ。余計な口を開くなって言われてるのは解ってるよ。

GM:彼は、まだ何か言いたそうな雰囲気だったけれども、「では、仕事が残ってますので、失礼します。明日は時間通りに伺いますので」って言って、最初のおどおどした態度からは想像できないような、しゃきんとした態度で、足早に去っていきます。

リリアン:「ソレイユ、ちゃんとバイバイしなさい」

GM/ソレイユ:「はーい。(小声で)リリアンおねーさん。あの・・・ミヤモトおにーさん、かんじかわったきがするんですけど」

リリアン:「んー、そんなもんじゃない? 男の子なんて」

GM/ソレイユ:「そんなもんなんですかねえ」

リリアン:何たって、あたしの〈魅了〉に掛からなかった人だからね。

ユウイチ:ええーっ?

ディアン:それも随分メタだぞ。

リリアン:って言って、部屋に入ると、「あれ、マキシムがいない」

ディアン:「・・・そういえば闇影もいない!」(笑)

ユウイチ:「大丈夫。そのうち出てくるから」

 
NEXT → 顔合わせの場で、マキシムそして闇影の前に現れたのは……
 


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