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TORGリプレイ

『Samurai Overdrive!』

 

第四幕

 
シーン4 双眸爛々と

 
 リングのすぐ脇まで降りてきたディアンと、一振りで幻夢斎を退けたマキシム。
 2人の騎士に、宮本が静かに歩み寄る。
 両の手に握られた二振りの刀が、非常照明を受けて、血のように赤く、妖しく光る。
 

GM/宮本:「社命により、お命頂戴いたします。我が二天一流ご覧あれ!」

闇影:二天一流かい!

GM/宮本:「二対一でどうぞ。僕は、武器を抜きましたよ」

ディアン:「オレには、お前と戦う理由がない」

GM/宮本:「僕にはあるんです。どうします? 僕があなたの名誉を汚せば納得していただけますか?」

ディアン:・・・・・。

マキシム:宮本に言います。「お前の剣が、お前の愛する者を守ると言うなら」

ディアン:その言葉に反応してマキシミリアンを見ます。

マキシム:「お前の愛する者が、その剣で救われて、本当に喜ぶと思っているのか?」

GM:「喜ぶと思いますよ。籠の鳥ではなくなるのだから。意に沿わぬ結婚から、解き放たれるのだから」そう言って、VIP席でパニックになっている織田を睨みつけて、「あの豚野郎から、俺の女を取り返す!」

闇影:説明しましょう。ニッポンテックの結婚は、会社同士が決めるんであって、本人同士の意向は無視です。

ディアン:ふむふむ。

マキシム:「お前の気持ち、解らなくはない。俺も、愛する者を助けるために、この世界と戦ったからな」

GM:あなたの姿とかぶせるように、ニヤニヤ嗤っている金輪龍一がいます。

闇影:そりゃ嗤うだろうなー。金輪からすれば、楽しいイベントだよなー。

GM:うん。だって、あなたの過去を知っててぶつけてるんだから。

マキシム:すっげぇ嫌だ! やべぇ、俺、戦えねぇや。剣を構えることはできても、攻撃できない。

ユウイチ:マキシムの時は、どうやって彼女を助けたの?

ディアン:花嫁泥棒(笑)。

マキシム:うん。担いで逃げた。

ユウイチ:じゃあ、なんで自分の手で奪い返さない? 奪っていかない? ここから奪って逃げればいいだろ、って言えばいいんじゃないの?

リリアン:おお、素晴らしい素晴らしい。

GM:ニッポンテックの価値観に縛られているからです。金で奪われたものは、買い戻せばいいと思っているからです。

ユウイチ:その考えが崩されない限りはダメか。崩すんだ! 崩すんだ! 崩せ! お前ならできる!

リリアン:マキシムがやらないんだったら、あたしがやるしかなくなるじゃない(笑)。もうこんな役、いやーん!

マキシム:・・・ここは攻撃受けるしかない。次〈説得〉する。
 

「いざ尋常に! Samurai Overdriveッ!」
 

 
3ラウンド目

GM:悪役先攻、ヒーロー後攻、混乱!

マキシム:やばいね。希望の法則(*37)使ってほしいね。

ユウイチ:希望の法則、今使った方がいいかい?

ディアン:混乱になると、カードが一切使えないんです。

ユウイチ:では希望の法則、使いましょう。

GM:今のは流して、引き直しますね。悪役先攻、高揚。ヒーロー後攻。推奨行動〈防御〉/〈挑発〉。観客席からは、人がどんどんいなくなっています。ではいきます!(コロコロ)ポシビリティを使います。

ディアン:打ち消します。

GM:2人に対して、〈武道〉30!

マキシム:〈白兵戦〉30ちょうどだから、積極防御で避ける。

ディアン:オレも積極防御します。(コロコロ)10、振り足し。

GM:おお、素晴らしい。

ディアン:〈白兵戦〉34。仕方がないんで、剣を抜いて、受け止めます。

GM:そうでしょ? 2人には判ります。こいつ、口だけじゃない。ホントに2人を相手にできる!

マキシム:強ぇー。

GM/宮本:「今までは、何の役にも立たないと思っていたこの剣。やっと日の目が見えましたよ」

闇影:あれ? でもポンテクだと、剣で金稼げるはずだけど。

GM:稼ごうとしたらうまくいかなかったんです。〈ビジネス〉の前に(笑)。

ディアン:つばぜり合いしながら、「カネではなくて、大切なのは心だと、前にも言った!」

GM/宮本:「心も買えます! 僕は、彼女の心を買い戻す!」

闇影:価値観が違いますね。

ユウイチ:それを崩さなければね。

GM:あと、もうひとつ判ったのが、彼の剣には、全く精神性が伴っていないから、ただの、殺人技でしかない。

闇影:それは、横目で見ながら私にも判るわけね。

GM:はい。あなたたち忍者とは違う意味で、彼の剣は、殺人剣なので、具体的で言うと、〈リアリティ〉判定でポシビリティが使えません。

ディアン:オッケー! よーく解った! マキシミリアン、〈リアリティ〉いくつだ?

マキシム:俺、〈リアリティ〉12。

闇影:ストーム・コンバットは、確かに相手の価値観を変えられるけど、この会場がめちゃめちゃになるからなー。

GM:(にやにや)

リリアン:あと、何となく、黒幕が嫁はんな気がしてならない。

闇影:でも、表に出てきてないからね。

リリアン:だったら、嫁はんを引きずり出してくるしかないだろ。

ユウイチ:それは、おれと、お前さんの仕事?

リリアン:ユウイチが連れてきて、あたしがマイクパフォーマンスで、一番オイシいトコだけ持ってく(笑)。

GM:ってことで、ブランシェット。(コロコロ)よし! 〈発見〉25。

闇影:〈隠れ身〉35。

GM:絶対無理!「バカな! 奴の方が技量が上だと言うのか!」

闇影:ではこっちは普通に攻撃しましょう。「お主の動きは見切った! 甘い! 甘いぞ! そんなことで正義が貫けると思っているのかぁぁっ!!」(コロコロ)17しかない。〈武道〉27。ダメージはそんなに出ないのよね。18。

GM:充分! 当たらなければどうということはない! つまり、当たると大惨事だ!(笑)この時点で一本取られました!

闇影:「これ以上やっても無意味! どうする?」

GM/ブランシェット:「確かに、貴殿の方が技量は上。しかし! この秘中の秘を明かす、正しさはどこにある!」

闇影:「人の命の前に、秘中の秘など、無駄、無駄、無駄! いいか、お前。お前は知らぬであろう。目の前で、小さな命が消えていく様を! 我らはそれを助けるために戦うのが、道理であろう!」

GM/ブランシェット:「同じ返答を繰り返すか! しようもなし! 何の工夫もなし! だがそれがよい!」(笑)

ディアン:折れた。マスターが折れた。

GM/ブランシェット:「よかろう! 貴殿の勝利を認める!」

闇影:「ならば、立て!」と言って手を出して、「そして、正義のために戦い、死ぬことを誓え。そうすれば、目の前で消えていく命を、助けることができる。そう、あの、上野公園のような、小さな命を!」

GM:うなずいて、「今にして思えば、拙者は、貴殿の足止めのために呼ばれたようなもの!」

ユウイチ:足止めだったんだ。

リリアン:正直だなー。

GM/ブランシェット:「見たところ、貴殿の仲間たちが苦戦している。助けに行け!」

闇影:「うむ!」と言って、ばーんと飛び上がります。

GM:気力が尽きたように、ばったりと倒れます。
 

「予想より少し長かったが、終わったね」金輪龍一は、サングラスの下で目を細める。
「さあ、メインイベントだ」
 

GM:残りお2人、行動どうぞ。

リリアン:場内に入ったら、VIP席を見て、それなりの年齢の女性がいるかどうか、確認する。

GM:(意味深に)います。いますが、我関せずといった感じで、織田の隣に座っています。

リリアン:そしたら、携帯をぱんと開いて、「ユウイチ。丁度いい主役がいるわ。拉致してきなさい」

ユウイチ:『ええーっ?!』

リリアン:「リングの真ん中にね。大丈夫。彼女はついてくるわ」って言って、ぴっと切って、その次に、ジェイクのところへ行こうとするかな。

GM:わかりました。ユウイチも場内、東京ドームのグラウンドが見える位置まで来ていいです。

 
NEXT → リングの上に、役者が揃う。奥方の姿を見た宮本は……
 


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