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TORGリプレイ

『Show Must Go On』

第一幕

 
シーン1 Crazy Journey

 
 ここはエジプト、ナイル川の中流。
 第二次大戦の頃に製造されたような、大きなボンネットの車が、砂漠を爆走している。
 車に乗っているのは、ナイル帝国の圧政に堪え兼ね、逃げてきた旅人。
 無力な彼らに、とげとげしく武装した改造車を駆る、無法者が迫りくる!
 そして無法者の群れは気づく。紋章の描かれた盾を持つ、光り輝く騎士が、
 旅人たちを守るように並走していることに。
 

ディ:オレは、逃がす手助けをしてるんですね。

GM:はい。旅人の集団に、悪の帝国・ナイル帝国の軍勢が襲いかかってくるのを守る、という絵面になります。

アン:遠くから見てる、とかでも大丈夫ですか。

GM:全然大丈夫です。あと、途中でサーカス列車が通りかかるので、そっちに乗っていてもいいです。

ソウジ:あ、列車に乗ってると思います。

バロン:同じく列車で。

アン:あたしは、たまたま別の依頼があって野宿してて、ふと顔を上げると。

GM:ゴオーッ!「ヒャッハー!」ゴゴゴゴゴ!

アン:「あいつらは・・・。なるほど、こういう運命だったようだね」

 
1ラウンド目

GM:では戦闘です。山札から1枚めくって、場札にします。スタンダード、ヒーロー先攻、疲労、悪役後攻。推奨行動〈防御〉/〈威圧〉。疲労というのは、特殊な戦闘アドバンテージで、皆さんに、自動的にショックダメージが2点入ります。

バロン:ショックダメージ?

GM:このゲーム、ヒットポイントを増減させるわけではなくて、ダメージの種類が3つあります。まず、負傷レベル。軽傷、重傷、致命傷、死亡の4段階。次、KとO。KダメージとOダメージが両方揃うといわゆるノックアウト、気絶になります。最後、ショックダメージってのは、衝撃とか疲れとかのダメージです。《耐久力》と同じだけ溜まると、やっぱり、気絶してしまいます。

アン:やべ、バーボン飲みすぎた(笑)。

GM:遠目にピラミッドがうっすら見える、ラクダとか隊商が行き交う砂漠で、砂煙を上げながら逃げている車に、マッドマックス怒りのデス・ロード参照、みたいな、エジプト神の旗を立てた、帝国の軍勢が、追いすがってるところです。

アン:あれですよね、「ファラオを讃えよ! ファラオを讃えよ!」(笑)

GM:「税金を払え! 帝国から逃げるとは何事だ!」と。彼らは、スターウォーズの銀河帝国軍、ストームトルーパーに倣って、ショックトルーパーと呼ばれています。エジプシャンな格好に、機関銃持って、上半身裸、という人たちが、砂漠のバギーみたいなものに乗りながら、「ヒャッハー!」

一同:(笑)

GM:ナイル帝国には、正邪の法則という世界法則がありまして、全ての知的生命体は、善か悪かに分かれます。善が6割、悪が4割。中立はいません。彼らは勿論、悪の人たちです。ナイル帝国に忠誠は誓ってますけど、見えないところだと悪さをします。

ソウジ:チンピラですね。

GM:敵の数は5台、5グループです。5台まとめて撃つ、ってことも理論的にはできます。敵の武器を奪って、その武器で殴る、とかもできます。1対多行動とか、複数回行動と呼びます。その代わり、難易度が上がるんで、高い達成値が求められます。

ソウジ:推奨行動って何ですか?

GM:その欄に書かれた技能の判定に成功すると、カードがもらえます。

アン:〈防御〉と〈威圧〉か。技能は持ってないから、いっそのこと攻撃しちゃうか。

GM:見ると、紋章付きの盾を構えている、どう見てもパラディンがいます。遠目には多勢に無勢のように思えます。「ヒャッハー! お前ひとりで何ができる!」とか言いながら、ガトリングを向けられてます。

アン:ま、いいだろう。獲物を狩ることにしよう。目立つ人間を見つけたから、そいつを狙ってる奴を撃つ。〈銃器戦闘〉基本値は15。(コロコロ)18。表を見るとボーナスは+5。達成値20。

GM:20を避けるのは無理!

アン:ダメージも、今のボーナスをそのまま足せばいいんでしたっけ。基本値22だから、27。

GM:一瞬、チッと光が放たれたと思ったら、次の瞬間、はるか50m向こうの車が、スローでベコッ! と凹んで、爆発してひっくり返ります。ドーン!

ソウジ:「なぬっ?!」

ディ:思わずそっちを見る。

GM:因みに、27はどのぐらいかって言うと、ボーイング747の重量です。ジャンボジェット機がぶつかったぐらいのダメージです(笑)。

GM:「な、なな何だ今のは! テメェ、魔法だな!」

ディ:「えっ? オレは何もしていない!」

GM:言い返してもよく聞こえてなくて、「あれは魔法に違いない!」と頭の悪い決めつけをして、彼らが撃ってきます。

ディ:積極防御を宣言します。

GM:多対一行動。集団の分、プラスをつけて1回だけ振ります。このゲームでは、数の暴力があるわけですね。(コロコロ)

アン:そう考えると最初に1台攻撃したのは正解だな。

ディ:はい。ありがたいです。(コロコロ)15。ボーナスは+2。

GM:ここでポシビリティを1点使うと、さらにダイスを振り足すことができます。

ディ:そうですね。ポシビリティを使います。15足す、(コロコロ)19、34。ボーナスが+10になったので、シールドの分(*2)+4もつけて、〈白兵戦〉達成値29。

GM:絶対無理だよ! ダダダダダーって撃って、砂煙が立って、「やったか?!」やれてません!(笑)「魔法だー!」

ディ:「だからオレは魔法使いではないー!」声が散らばる。

アン:遠くで、「まったく失礼だねぇ、侵略者は。どこの世界でも自分が理解できないものは、魔法だって片付けちまう」

GM:でも実際あの人、キラキラ光ってたりする(*3)から、魔法っぽくはある。〈防御〉は推奨行動なんで、カードを差し上げます。
 

 その時、砂漠を越えて、高らかに汽笛が響く。
 砂嵐の向こうから、派手な色彩の蒸気機関車が近づいてくる。
 騎士の鎧を思わせるような、金属製のパーツは、赤や金色に塗られている。
 まるで、遊園地の中を走る列車のようだ。
 

アン:デンライナー(*4)?

GM:デンライナーはさすがにちょっと、近代的すぎるかな。ゼロライナーの方がまだ近い。それが、ぶつかるぶつかるー! みたいな感じで、突っ込んできます。一方、乗っていた2人。

ソウジバロン:はい。

GM:これは、サーカスをやりながら巡業してる列車なんですけども、2人は用心棒として、もしくは一時的に団員として、一緒にいます。あと、この列車には何か、裏があるらしくって、調査に入っていた、でも構いません。

ソウジ:潜入調査ですかね。忍者だし、自称・軽業師で。

アン:多分、耳で空を飛ぶ象がいるんですよ(笑)。

GM:バロンはどうします? 旅をしていたら、拾われた、とかでもいいと思います。

ディ:ヒッチハイク的に乗ってきたのかも。

バロン:それだ! ナイルに行きたくてヒッチハイク。

GM:乗せてもらう代わりにお手伝いをしてる、とかですかね。ここには何百人もの団員がいて、家族ごと暮らしています。2人が外を見ると、どうもナイル帝国の奴らと、ストームナイトが戦っているようです。

アン:ところで、今は夜ですよね。

バロン:夜? 月は出てます?

GM:出てます。

バロン:マジっすか!

GM:あなたの身体を覆ってるのは、呪いなので、夜毎あなたは身を震わせるわけですけど、オープニングですから、カッコいい感じでいきましょう。ナイル帝国にはマンガの法則っていう世界法則がありまして、あらゆる行動が派手でマンガ的になります。

アン:ここだとバロンは、アメコミ系の人狼ヒーローになる。

バロン:はっ、何だ、この熱い衝動は!(笑)

 
NEXT → サーカス団の2人が、ヒーローとして華麗にデビューする……
 


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