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TORGリプレイ

『Show Must Go On』

第二幕

 
シーン1 Knights go round

 
 サーカス列車は、ナイル帝国の首都、テーベに向かって旅を続ける。
 彼ら『ロングロングサーカス』は、元々コアアース(地球)の著名なサーカス団だったが、
 60両を超える車両で全ての機材と公演者と動物を運ぶという、規格外のスケールが、
 ナイル帝国ハイロード、Dr.メビウスの興味を引き、運営再開の許可が降りたらしい。

 そして、「許可を与えた以上、芸のひとつも見せに来い」と声が掛かり、
 現在彼らは、ファラオことDr.メビウスの御前での公演のため、テーベを目指している、
 とのことである。
 

ディ:「Dr.メビウスのところへ行くのか?」

GM:「ああ、行きますよ」

ソウジ:軽い(笑)。

ディ:「メビウスは、このナイルを支配している、者だろう?」

GM:「まあな。でも、パンとサーカスって言うじゃないか。芸を見たがっている人たちに、芸を見せるのが、私たち芸人の仕事だ。(小声で)そりゃ確かに、文句がある人もいるかもしれないけど、それはそれとしてさ。別に、良かれと思ってるわけじゃないよ。でも仕事だし、ファラオの前に出れる、って喜んでる人もいるし」

ディ:そこまで聞くと、オレは何も言えなくなって黙ります。ただ、先ほど姿を見た、軽業師と、バロンの2人は、メビウスのところへ行くことを知っているのかを聞いてみたいと思います。

ソウジ:多分香川くんは、それを踏まえた任務として、潜入してるんじゃないかな。

GM:ソウジ、〈発見〉で振ってみてください。ない場合は《知覚》。

ソウジ:〈発見〉は12です。(コロコロ)13が出たので、+1。達成値13です。

GM:そうすると、一部の芸人がこそこそ話をしていて、あなたの優れた聴覚が捉えたのは、「アイルの聖騎士じゃないのか」「あんなの拾って大丈夫なのか」「計画が・・・」

ソウジ:計画・・・。

GM:通りすがった副団長、団長の奥さんが、「避難民の人たちの分、飯も飲み物も、なんとか足りそうだ。多く積んでてよかったね、あんた!」と、嬉しそうにしてて、ちょび髭の団長さんが、「あ、そ、そうだな」

アン:何か隠してる様子。

GM:とりあえず、どういう連中が喋ってたかは、目星がつきました。あと、何人かが、剣呑な目をしながらディのことを見ていました。

ディ:・・・・・。

アン:適当なところで降りるかー、と思いながら、「あ、酒ある?」

GM:「あるよ。何がいい?」

アン:「じゃあ、ウイスキー」と言って、傍にタバコ、傍に酒。

GM:「お、いいねぇ。姐さん、イケるクチだね」

アン:「ああ。もう最近、これがないと、どうしようもなくてねぇ」

GM:「俺も仕事中じゃなければ、飲みたい気分なんだがな。姐さんの見事な腕に、ってことで、それは俺のおごりでいい」

アン:「お、いいのかい? 花火を上げた甲斐があるってもんだ」

GM:「そりゃそうさ。あんないいモン見せてもらったら。よかったら、うちでやんねぇかい?」

アン:「生憎、これは芸じゃない。人殺しを芸にしちゃあいけないよ」

GM:「人を撃たなきゃいいんだよ」

アン:「あんまりこれもね、安く使っちゃいけないもんなんだよ」

GM:「そうかい。じゃあ、もっと姐さんが酔った時に口説かせてもらおう」

アン:「あたしは酔ったって、口は割らないさ」ただ、ライフルを見つめてる時は、どことなく懐かしそう。

GM:そうですね。少し優しい視線になるのかもしれません。一方、さっきの連中はアンのことも警戒気味に見てましたけど、「流れの傭兵だろう」「もしかしたら取り込めないか?」みたいな話をしてます。あと、「あの黒い狼は何だ?」(笑)

ディ:あんな動物、ケージにいたか?

GM:「ショーに出してぇなぁ!」「あれが火の輪くぐったらすげえぞ! ファラオも腰抜かすぞ!」

バロン:くしゃみします(笑)。

アン:「なんだい、風邪かい? 風邪には身体をあっためるのが一番だよ」バーボンを渡す。

バロン:「ありがてぇ!」と言ってクイッと飲んじゃいます。

GM:「おい、新入りのバロン! サボってんじゃねーぞ!」

バロン:「あ、すいません!」

GM:「ったくもう。お前見たか? さっきの黒いの」

バロン:「えー、知らないっすねー(ヒック)」

GM:「見てねーのか! どんくせぇなぁ!」って言われながらも、嫌な感じは全然しないです。基本的にいい人ばっかりなので。

ディ:オレも荷運びぐらいは手伝おう。乗せてもらったお礼をしないといけないし。

GM:そうすると、車に乗っていた旅人たちが、あなたにお礼を言いに来ます。「おかげさまで、とりあえず砂漠は越えられそうです! 聞いたところ、この列車には、ファラオの許可証みたいなのがあるらしいんで、追ってはこないだろう、と」

ディ:「そうか。よかった」

GM:「似たような人が、私たちの他にも乗っているみたいだから、呉越同舟で乗せてもらおうと思います。これまで本当にお世話になりました!」と、頭を下げて、「大したお礼もできませんが」と、差し障りのない程度に、お金も一応提示はしてきます。

ディ:「いや、いい。旅をするのに、金は必要だろう。神の加護が、あらんことを。オレも、しばらくはこの、レッシャに乗っている」

ソウジ:「そこのあなた、ちょっといいか?」と言って、ディアンに手招きして物陰に呼び寄せます。

ディ:旅人たちに頭を下げてから、軽業師に近づきます。「後で話をする、と言っていたが」

ソウジ:「ああ。訳あってこのサーカスに居させてもらっているが、正式な団員というわけではない」

ディ:「それだけ身のこなしがすごいのに、団員では、ないのか」

ソウジ:「まあ、色々あって」と言って目が死んでる(笑)。

ディ:「! え、えっと、ストームナイト、ディアン・オブロー」改めて名乗ります。

ソウジ:「香川ソウジだ。この国の者ではない」

GM:完全に東洋人、ってわかりますね。一方ディアンは、歴戦のストームナイトで、ニュースとかにも出たりするレベルの有名人です。

ソウジ:「談笑していたところを遮って悪いが、ひとつ、伝えておきたいことがある」

ディ:「なんだ?」

ソウジ:「この列車、色々ときな臭いものがある。もしかしたら気づいているかもしれないが。特にあんた。身辺には気をつけた方がいい」

ディ:「気を、つける・・・?」

バロン:丁度話が切れたところで、現れます。「Yo men! あんたらヒーローだろ! 俺はヒーローになりたくてナイル帝国まで来たんだぜ!」

ディ:「バロン」

ソウジ:「そちらも先ほどはすごい働きだったな」

バロン:「俺っちは、別に、何もやってないぜ?」

ソウジ:「まあ、そう言い張るのならそういうことにしておいてもいいが」

ディ:「ナイル帝国の狼は、話すのか?」

バロン:「! お、おおう。最近の狼は、話すんじゃないかな?」

ソウジ:「おや? 何もやってないんじゃなかったのか?」

バロン:「うーん、Ah、oh・・・」

GM:(バロンを指して)嘘が下手だから、いい人です(笑)。

アン:椅子を繋げて寝転んで、カマかけて正体を看破してるのを見て、ニヤニヤしながら酒飲んでる。「仕事はいいのかい、ミスターロボ?」

バロン:「俺はバロンだ! う、うああ!」(笑)

ソウジ:一気に賑やかになったので、ちょっと肩をすくめて、「まあとにかく、ディアンもそうだが、バロンも、気をつけてほしい」振り向いて、「赤毛のアン。あんたもだ」

ディ:おー、カッコいい!

ソウジ:「忠告はした。あまり大っぴらに動くことは、事情があって無理なんだが、陰ながら、情報を渡すことくらいは、できるかもしれない」

アン:「ああ。助かるよ」

ディ:「カガワも、気をつけて」

ソウジ:「ああ。互いに、充分用心をしよう」(退場)

ディ:今のでオレはアンのことを認識して、彼女に礼を言っていないことに気づいたので、そばまで寄って行って、片膝をつきます。

アン:「ビックリしたぁ」

ディ:「ストームナイト、ディアン・オブロー。先ほど、追っ手を、止めてくれたのは、アンだな。ありがとう」

アン:「いや、あたしは、あんたの光で獲物が目立ったから、それめがけて撃っただけだ。そんな、礼を言われるようなことじゃない」

ディ:「光?」

GM:本人は気づかないけど、動く度にキラキラします(笑)。

ディ:アンは、酒臭いんですよね。

アン:酒を飲む、タバコを吸う、の繰り返し。

GM:まー、独特の匂いですよ。

ディ:「そんなに、飲んで、大丈夫か?」

アン:「飲んだ方がいいんだよ。あたしの場合、飲んだ方がよく眠れる。飲まないと起きちまうからね」これは、旦那が死んだ時の悪夢で、飛び起きるからです。

GM:そうですね。目の奥に辛いものを宿してることは、何となく察することができます。銃を抱えるようにしてますしね。

アン:「眠りが浅い方が、傭兵としては才能があるって聞くし。まだ傭兵になって日が浅いけど、役に立ってるよ」因みに、首元を見ると、明らかに、アン・シャーリーって書いてないドッグタグが見えます。

一同:・・・・・。

アン:多分、数年前の日付が書いてある。侵略者が地球にやって来た日と一緒。

ディ:「眠れると、いいな。レッシャの中にいれば、レッシャが、アンを守ってくれる」

アン:「なーに、もしかしたら、外の砂漠も、こっちも、地獄かもしれないよ。でも同じ地獄だったら、こういう風に座れる地獄の方がいいね」

ディ:「地獄?」

アン:サイバー教皇領の人間だから(*5)、地獄の存在は知ってるだろう。「あんたこそ、すごい腕じゃないか。あれだけのガトリングを防げるなんて」

ディ:「がと・・・?」

アン:「あんたに向かっていった、針の嵐のことだよ」

ディ:「オレは、夢中だったから」

GM:ということで、互いに、ストームナイトだと認識したところで、シーンを切ります。補足しておきますと、ストームナイトは、いわゆる「侵略者に対抗する者」の総称です。ストームナイトを自称するということは、ヒーローとして、人々のために戦う意志があることの証明です。例えば所持金欄に10億円って書いてあったり(笑)、そもそもお金という概念がない人がいるように、TORGは冒険者をして依頼を受けてお金をもらって、というゲームでは全くないです。ヒーローとしての矜持をどこに置くか、何のために戦うかは、個人によって微妙に違いますが、最終的には「世界を救うため」です。

 
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