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TORGリプレイ

『Show Must Go On』

第二幕

 
シーン4 Man behind the plot(承前)

 
ソウジ:あと、個人的には、誰に吹き込まれたのかを訊いてほしい。

アン:団長に言います。「あたしは昔、騙されて、空手形で仕事をさせられたことがあったんだよ。スポンサーがいるなら、会っておきたい」

GM/団長:「ああ、総督様だ。マディブ・アル・ヘプサっていう」

ディ(睡眠中):ぷは!

GM:ナイル帝国は10のエリアに分かれてて、10人の総督が治めています。そのうちのひとり、マディブ・アル・ヘプサ。プレイヤー情報として、バラしておきます。Dr.メビウスです!(笑)

バロン:あは! 本人っすか!

アン:やっぱり本人だったんだね。

GM:一人二役を演じることで、反乱の情報を集めたり、いいように操る。例えば他の総督に、「どうっすかファラオ。なんかムカつきません?」とか言いながら、ムカつくって答えたら、「あ、こいつ反乱するかも。殺す」。この一人二役を知ってるのは、帝国の宰相ぐらい。

ディ(睡眠中):一般人の知識は、「そういう名前の総督がいる」どまりだし、ストームナイトでも、そこまで知ってる人はまずいない。オレも知らないです。

GM:そして、二重スパイ的に、ナイルのヒーローにも声を掛けているようです。「ほら、リベンジャーズだっけ?(笑)あの映画みたいに、ヒーローがわーって集まって、一緒に悪い奴をやっつけるんだ」

アン:「その手配も、マディブ氏とやらなのかい?」

GM/団長:「ああ。俺たち顔は広いから、色んなヒーローに話をして、来てくれる手筈も整ってる。ヒーローが手を貸してくれるんだから、間違いない。これで姐さんも安心な筈だ」

アン:「そうだね。・・・だがこの計画じゃダメだ」

GM/団長:「な、なんでだ?!」

アン:「物資が少なすぎる。どこかの駅で停めて、一度物資を調達した方がいい」プレイヤー的には、列車を停めた時に、計画を邪魔する段取りをするのがいいと思う。

GM/団長:「スケジュールが決まってるんで、短い停車時間しかないぞ。それでもいいか?」

アン:「ああ。どっちみち、客の荷物を降ろす必要があるんだろ。ほら、仕事もせずに暇してた奴がいたじゃないか。バロンとかいう」

GM:いたなー(笑)。

アン:「あと、軽業師もいただろう」

GM/団長:「ソウジか。でもあいつは花形だから、怪我なんかされたら困るよ。ファラオの前で、空中ブランコをやってもらうつもりだし」

アン:「それに、アイルの聖騎士だって、力仕事の手伝いだったら喜んでしてくれるさ」

GM/団長:「そしたら姐さん、悪いがその時に、うまいこと言って、あいつを降ろしてくんねえかな」

アン:「大丈夫。どっちにしろ、ファラオのところまで行くつもりはない、って言ってたから」

GM/団長:「なーんだ! 心配して損したぜ!・・・あと、うちのカミさんも降ろしてくれ。俺がアレした時に、アレしたら可哀想だろ」

アン:「奥さんを愛してるんだねぇ」

GM/団長:「おいおい、やめてくれよ。そりゃあ、カミさんを愛してない旦那なんていねぇだろ!

アン:・・・・・。

ディ(睡眠中):刺さるな、これ。

アン:「そりゃそうだ。だから、絆は大事にした方がいいよ。(静かに)遠く離れてても、戻らないことだってあるけど、絆は本人の気の持ちようでどうにかなるからね」

GM:「ああ、そうだな。列車だって、色んな繋がりでできているもんだからよ」今の話で、団長が、一瞬フワッと善に寄ったのがわかります。「そういう感じでやろうって、昔カミさんと話したんだよ」って言って目がキラキラするんですけど、「おっと」って言って目がまたどんよりします。「いかんいかん」

アン:これ、〈催眠術〉か何か掛けられてる?

GM:どっちかっつーと、本性が揺れた。

ディ(睡眠中):揺れているなら、「善への誘惑」が使えるかもしれない。

ソウジ:それは、どういう判定ですか?

ディ(睡眠中):悪の本性を持つ相手を〈説得〉して、相手がポシビリティを持っていると抵抗されちゃう場合もあるけど、抵抗されなければ、相手の本性が反転して、悪から善になる。

バロン:ほうー。

GM:“警戒”カードがあると完璧です。魂が完全に認識できるんで。

ディ(睡眠中):“警戒”がなければ、判定はできませんか?

GM:単純に、難易度が高くなると思ってください。もうひとつの注意点は、「善への誘惑」だから、純粋にちゃんと、善へ誘惑しないとダメですよ? こっちの方が得ですよ、とか言われても困るわけですよ(笑)。

ソウジ:うーん、香川くんは微妙ですねー。ある意味純粋ではあるんですが。

アン:そうするとバロンか。

GM:団長の心が一番揺れるのは、決行の時です。そこがピンチであり、チャンスです。

アン:ただ、決行自体をさせるわけにはいかないよな。

ディ(睡眠中):どうやって、計画通り進んでいると思わせながら、邪魔をするか。

アン:多分、ニューカマーたちは、我々がぶっ飛ばすことになるんじゃないかと思うんだけど。

バロン:いや! 香港から来たアイツは、俺のダチ公かもしれない!(“知人”カードを出す)

ディ(睡眠中):あはははは! ダチだ、間違いない!

GM:『奇遇だね(*9)! 小さい頃よく遊んだ!』

バロン:『キンちゃんじゃね? キンちゃん、でかくなったなー!』(笑)

ソウジ:え、みんな香港から何が来たか、わかってるの?

GM:ディはこの前の続きだから知ってる、2人は何となく察してる。

ディ(睡眠中):昔の映画ネタです。

GM:ってことで、団長は心揺れながらも、目を合わせずに、「ここにサインしてくれ。契約書代わりだ。でも本当に前金なしってのもアレだなぁ」

アン:サインしたんだから契約果たせ、とは言われないですよね。

GM:はい。別に、踏み倒したって知ったこっちゃねぇです。これがアイルだったら、書いたからにはちゃんとやります、って言わなきゃいけないけど。

アン:じゃあ、フランス風のスペル(*10)で書こう。スペルが違うからナイルでは通じないよ、ってネタになる。

GM:なるほど、いいですね。帝国の公文書って体裁だけども、実は成立してない。「これはしまわせてもらうぜ。よろしく頼むよ、姐さん」と団長が言ったところで、シーンが終わります。

 
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