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TORGリプレイ

『Show Must Go On』

第二幕

 
シーン5 This is me

 
ソウジ:香川くん的には、ニューブラザーの姿を見に行きたいです。バロンがニューブラザーに会いに行ったところを、密かに見てた、って感じで。

バロン:じゃあ、動物たちから全部話を聞いた後に、キンちゃんのいる車両に走って行きます。

GM:後ろの方には、明らかにセキュリティレベルの高い車両がありまして、でもあなたが行くとみんな、「ヘイ! 何だ、交代か?」ぐらいの感じで。

バロン:「ヘイ! 交代だ!」

GM:何故かみんな、交代してくれるわけですね。善人は信じるし悪人はサボりたいから(笑)。

ソウジ:実にわかりやすい。

GM:そこにはやたらと大きなコンテナがあって、何故かわからないけど、近くに山積みのバナナが置いてある。『定期的に与えること』って書いてある。

ソウジ:あ、なんか、今わかりました(笑)。

GM:そして、何となく懐かしさを感じる匂いがするわけですよ。向こうも、『ウホ?』ってなるわけですよ。

バロン:“知人”を使います!

GM:ですよねー!(笑)そうすると、コンテナの中から、独特の、野太いけど、ステキな声がするわけですよ。『もしかして、バロン?』

ディ(睡眠中):類人猿的な声が。

GM:中には、巨大なゴリラが。キングコングです

ソウジ:え、そういう映画があるんですか? 知らなかったです(*11)。

GM:やっぱ時代ですね。『キングコング』っていう、巨大な恐ろしいゴリラが、探検隊に見つかって都会に連れてこられて大騒ぎ、って映画があるんです。

ディ(睡眠中):ビルを登っていって、美女を握りしめて。

アン:めちゃでかい。どっちかというとゴジラとかの怪獣もののベクトルに近い。

ソウジ:なるほど。

バロン:「ジーザス! もしかして、キンちゃんじゃね?」

GM:すごい縮こまりながら、『ラージャ(おお神よ)!』

バロン:「キンちゃん離島に引っ越すとか言ってなかったっけ?」

GM:色々あって(*12)、彼は、ナイル帝国の悪い奴に騙されて、香港に行かされたんですよ。

バロン:香港に!

GM:頭の悪い、ナイルの幹部がいて、「パンダ外交ならぬキングコング外交アル!」って言って、香港へ連れて行ったんですよ。

アン:(吹き出す)ひでぇ。

GM:『そこで僕、まるで映画みたいなことしちゃってさ』

ディ(睡眠中):あの時は、ホープダイヤの呪いでおかしくなってたんですよね。

GM:そう。『その時に、いいストームナイトさんがいてね、僕、ホープって名前をもらったんだ。希望だなんて、恥ずかしいね』

バロン:「おおー!」

GM/ホープ:『でっかいビルに登って、わーってやってたらさ、そこのオーナーが、うちで働かないか? って。正社員だよ!』

バロン:「キンちゃん、マジか! 正社員?」

ソウジ:せ、正社員。(GMを指差して)正社員。(自分を指差して)派遣社員。か、格差がぁー!

バロン:企業忍者と、正社員ゴリラ(笑)。

アン:ゴリラの方が待遇がいい!
 

 ホープは、ホテルビルの専属ゴリラとして宿泊客を楽しませていたが、
 サーカス団から声が掛かり、故郷へ錦を飾る意味で、
 一時的にナイル帝国へ戻ることにしたのだと言う。
 

GM/ホープ:『でも、バロンがいるってことは、何かがありそうだね』

バロン:「キンちゃん、ここにいたら危ねぇよ。マジパネェこと起きるよ!」

GM:『ええーっ!?』ガバッと動くと、列車がグワーッと揺れるんだけど。『どういうことなの?』

バロン:かくかくしかじか。

GM/ホープ:『ええーっ!?』

ディ(睡眠中):アンの目の前でオレがぴょん! と跳ねる。

アン:ここまでやって起きないなんて、逆に心配になるな(笑)。

GM:さらにバロン。〈発見〉で振ってみてください。

バロン:(コロコロ)13。達成値12ですね。

ソウジ:あ、“援助”あります。

GM:どういう援助をしますか。

ソウジ:もう、飛び出しちゃいましょう。「話は聞かせてもらった! 正社員のゴリラくん(笑)。ホープくんと言ったか。正社員だからといって、そこで安心してはいけない。世の中には、ブラック企業とホワイト企業があるんだ。明らかにここはブラック企業だ! きみ、こんなところにいていいのか? 一生を社畜として終わることに意味があるのか?」

GM:えーと、僕は車両に乗ってる畜生ですが(笑)、と小洒落たジョークを飛ばしてみる。

ソウジ:めっちゃ熱くなって、壁に手をダンダンやって、「いいや、いいわけがない!」

アン:別のところでヒートアップしている!

GM/ホープ:『えーとゴメン、バロン、この人は、何と戦ってるの?(笑)社会? 現実?』

ソウジ:「そうだ! 俺たちは、みんなに希望を与えて社会を変えていかなければならないんだ! こんな世の中は間違っている!」

ディ(睡眠中):あー、戻ってきた戻ってきた。

GM:よかった、ものすごい迂回したけど、正しいトコに戻ってきた。

ソウジ:香川くん的にはまっすぐ走ってるつもりなんですが。

GM:優しい目をして、『うん』って頷く(笑)。

アン:すげぇ。ゴリラが一番話を冷静に分析してるぞ!

ソウジ:くるっと振り返って、「バロン。この企みは、ぜひとも、阻止しなければならない!」って言って、“援助”です。

GM:じゃあ、その流れで、ダンダンやった時に見つけたのが、興・奮・剤! です。

バロン:わはははは!

ディ(睡眠中):つまり、ホープくんを、意に沿わず暴れさせるための道具が、揃ってるんだね。

ソウジ:さっき動物たちが嫌な感じがするって言ってたのは、これか。

GM:そう。最初は芸を見せて、途中ぐらいで暴れさせる。で、彼はゾッとするわけですよ。『うわ、こんなものが!』

ソウジ:「そうだ。これがブラック企業のやり方なんだ。こんな悪事を許してはいけない!」

GM/ホープ:『う、うん』(笑)

ソウジ:「おのれ、部下を使い捨てのゴミのように使って!」(笑)

GM:おっきなゴリラが、すごい、優しい目できみのことを見てるんだけど。

ソウジ:「コホン。失礼。少々取り乱してしまった」

GM:少々じゃなかったけど。すごかったけど。

バロン:「クールダウンだ、ニンジャヒーロー」

GM:『なんか、いいこと・・・あるよ?』(笑)ニッポンの言葉は良くわかんないけど、この人が怒ってることはわかった。世の中を良くしたい、って気持ちは伝わってきた。

バロン:「キンちゃん、いや、ホープにも伝わったってよ!」

ソウジ:「それはよかった」

アン:興奮剤の中身を変えておこう。

ソウジ:そうですね。中身をただの水にすり替えましょう。

GM:『それさえ打たれないようにしてくれれば、ちゃんとするよ。僕も、ストームナイトに協力するものの端くれだからね』本性善だから、栄養剤だよー、なんて言って打たれると、素直に受けちゃうんで。

ソウジ:「これで、中身は害のないものに変わったが、興奮剤が効かなかったら、別の行動に出るかもしれないから、一応心構えはしておいてくれ。・・・と伝えてくれ」

バロン:「オーケーオーケー!」

GM:『僕に協力できることがあれば言ってください。でも・・・バロン、会えて嬉しかった』と言って、でっかい指を伸ばす。

バロン:指先だけキュッ、と掴む。

ディ(睡眠中):何という萌え仕草(笑)。

GM/ホープ:『みんなが噂してた黒い狼って、やっぱりきみだったんだね』

バロン:「マジパネェや。みんなに見られちまった」

GM/ホープ:『でも、きみはやっぱり、光の下(もと)を走るべきだよ』

バロン:「ふっ、嬉しいぜ。希望なんかに、言われるなんてな」

GM/ホープ:『僕にそれを与えてくれたのは、みんなだから、きみにも、そうなってほしい』

バロン:なんかどんどん、堕落の法則から逆に行ってるような気がしますけど。

アン:ストームナイトは堕落の法則に行かなくていいんだよ。

GM:そう、行かなくていいです。ただ、どんなに光があっても、呪いがまだ離してくれない、というのが恐ろしいところです。光に向かって行く、ってことは、影がどんどん長く伸びて行く、ってことなので。

バロン:ああー。

GM:それを多分、彼は心配しているのだと思います。『いい仲間ができたみたいだね』

ソウジ:!

GM:ソウジの目を見て、『一緒になって怒ってくれるのはいい仲間だよ』

バロン:「ああ。ヒーローは、俺の憧れだ!」

ソウジ:「憧れられるほどの者ではないが、やるべきことはやろう」

GM:といったところで、ソウジのところに、雇い先企業からメールが届きます。

ソウジ:ぐうっ。ちょっと嫌そうな顔で、メールを開きましょう。

GM:『今回報告のあった件、我が社としては、容認できない。リスクコントロールができないので、望むべくもない。なので、計画を妨害してほしい。そのために、我が社も協力するから、必要なものがあったら言うように』

ソウジ:上司ですよね? 「わかりました。何かあれば、こちらからも協力を願いたいと思います」

GM:向こうは、色よい返事はくれたけど、失敗したら切り捨てる気満々だな、って空気を感じた(笑)。

ソウジ:くそ、くそぅっ!(笑)

 
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