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TORGリプレイ

『Samurai Showdown!!』

 

第一幕

 
 ひとりの男が、海の近くに立っている。
 夜の闇に浮かび上がる海の色は、どこか赤黒い。
 仕立ての良いヴィクトリア調のスーツと、ナイル風レザーグローブにマフラーの組み合わせは、
 えらくちぐはぐな印象を残し、見る者を不安にさせる。

「この状況・・・予想していなかったわけではない。
 だが、次の一手で、ひっくり返してやる!」

 ―――暗転。
 

 
シーン1 五月闇

 
 ここはニッポン、隅田川。
 例年より少し早く、6月下旬に開催されることとなった、花火大会の会場で、
 数奇な運命の導きにより、5人のストームナイトが再会を果たそうとしていた。
 

GM:では、ディから。『Samurai Overdrive!』の後、色々あったと思いますが、そこは省略。とりあえず、あなたに依頼されていた、外交上のあれこれが、ほぼ無事に終わる運びとなりました。ニッポンにあなたが降り立った時以来の、アイルフィーバーは、未だ収まる気配がありませんが。

ディアン:オレは、別に、何もしていない。ただ、アキハバラで、目立つことをして、警察に捕まったが。

リリアン:え?

GM:秋葉原で、1日に2回も万世橋警察署に捕まる(*1)、っていう偉業を果たしたんで(笑)。

リリアン:それは確かに偉業だな。

GM:以来、万世橋警察署パネェ、万世橋警察署最強説ってのが流れてる。

ディアン:サイバーガーゴイルが、ぱそこんという箱の中に消えたと説明しても、誰も信じてくれなかった。

GM:あなたの人気の為せる業なのか、外交上、どうこうされることもなく。その陰では、身元引受人になった財閥の総帥(*2)がいたとかいなかったとかいう話もあり、今では笑い話ですむレベルでございます。そんなあなたに、金輪龍一名義で、『日本を発つ前に、一席設けたいのですが』という手紙が、来ています。

ディアン:こういう誘いは、受けないと非礼だろう。オレも、アイルの宮廷常識を、多少なりとも身につけていそうなので、行く準備を、しようと思う。

マキシム:ふーん(不機嫌そう)。

ディアンそして、マキシミリアンに、相談する。「カナワ殿から、オレを、招待するという、手紙が来た」

GM:お仲間もご一緒にどうぞ、って書いてあります。ただね、すっごい親密な感じの文面。親愛なる友人へ、ぐらいのトーン。マキシムはできれば金輪をぶった斬りたい、ぐらいに思ってますけどね(笑)。

マキシム:因みに、『Samurai Overdrive!』での、金輪龍一と、ディアンのやりとりは、知ってるんだっけ、俺?

ディアン:多分、オレは、あの場を収めるのに精一杯で、何も伝えていないと思う。

マキシム:内緒にしてるよね。だから、パラン教の人たちを救うために、取引をした(*3)ことは、知らないよね。

GM:あなたに解るのは、あなたの見ていないところで、彼と2人っきりの時間があったのかな、ぐらいのことです。

マキシム:当然訊く。すごい剣幕で、「何だよこれは?」

ディアン:「招待状、だ」

マキシム:「っていうか、なんで金輪から、お前に招待状が来るんだよ?」

ディアン:「この間のことが、あったからでは、ないのか?」どうして煮え切らない答えかというと、オレにもわからないからです。

GM:ああー。そうですね。

ディアン:どうしてこんなに親しげな文面なのかは、オレはそれを読み取る能力がないので、わかりません。

GM:あと、2人が思うのは、この次、香港に行く予定があるので、金輪龍一にも、ちゃんと挨拶してから行った方がよかろう、と。常識的に考えて。

マキシム:「この間のことって、どういうことだよ?」

GM:それに関しては、導入部分なので、詰め寄ったところでシーンを切ります。

マキシム:あら?(笑)

GM:ディはいつものように歯切れの良い回答を返してはくれませんでした。いつもだったら、すぐにツーカーで、喋らなくてもいい、ぐらいなのに、あんまり目も合わせてくれない。

ディアン:そ、そう?

GM:だって、今実際、伏し目がちですからね。

ディアン:ひっでぇなGM。

マキシム:なんか、ヒビを入れにきてる。

GM:当然ですよ! では、改めて自己紹介と、【使命】の読み上げをお願いします。

ディアン:ストームナイト、ディアン・オブロー。キャラクタークラスはバーバリアン戦士だけど、見た目はフル装備の騎士です。『あなたは高名なストームナイトである。あなたの【使命】は、香港返還を成功させることである』。これから香港に渡るそうです。以上。

GM:あ、そうそう。ディには、改めて、正式にパラディン(聖騎士)にならないかというお誘いが来ました。

ディアン:アーディネイ女王から?

GM:はい。

リリアン:これで銀の槍が装備できるように(*4)。

マキシム:違う(笑)。

GM:アイルの王宮の噂としては、ああ、なるほどね、これは、聖騎士として迎える前に、外交的な経験を積ませているんだな、っていう。

ディアン:オレはそういうの、一度蹴ってるし、好みじゃないんだけどな。

マキシム:マキシミリアンです。キャラクタークラスは、バーバリアン。でっかい剣を背負ってます。

GM:斬神刀と呼ばれるやつです。分厚い鉄塊みたいなやつ。

マキシム:【使命】は、『あなたは高名なストームナイトである。あなたの【使命】は、香港返還を成功させることである』。ディアンと一緒です。

GM:この2人は仲良しですね(笑)。

マキシム:今んトコ【使命】は一緒だしね。

GM:あなたはニッポンに帰ってきて、家族と再会できればなーと思ってたんですけど、浅草に住んでいた家族、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さん、あと妹は、家を引き払っていて、家は完全にもぬけの殻、廃墟になっていました。その後、家族の行方を探しています。

マキシム:(自分の【秘密】を見て)そうですね。

GM:ニッポンから出る前に、会えたらいいなー、連絡取れたらいいなーと思っているところです。

 
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