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TORGリプレイ

『Samurai Showdown!!』

 

第二幕

 
シーン4 苦い約束

 
 GMが強調する。【秘密】が明かされない限り、腹を割って話すことができないのだと。

「あいつは何を考えているんだ」
「どうしてあんなことをした?」
「もしかすると、彼は敵と通じているのかもしれない」

 疑心暗鬼に陥ったまま、不測の事態が発生した場合、
 普段のような優れたチームワークを発揮するのは、困難になるだろう。
 

マキシム:だったら俺は、一緒にいる仲間の【秘密】を抜くのを考えようかな。多分その方が早い。

GM:因みに、シノビガミっぽいギミック(*17)として、カトリーナは、テレパシーを使って、知った情報を、他人に伝えることができます。

リリアン:サイコな子だったのね。

ディアン:彼女は、ロシア超能力研究所の、ホープです。

ユウイチ:【秘密】を抜くっていうのは、どうやってやるの?

GM:〈手掛かり分析〉なり〈発見〉なりで、判定します。

マキシム:【秘密】に関連づけて、自分は喋っちゃいけないんだよね。

GM:厳密にそのままを言ってはいけません。匂わすのはできます。だから例えば、『あなたは誰々を愛している』って書いてあるとしたら、「実は俺、好きな子がいてさ」とは言える。

ユウイチ:最後まで【秘密】のままだったら、どうなるかなー。

GM:互いに何を考えてるのか解らずに行動しなきゃいけないから、結局、ここぞというところで、協力するのが難しくなる。あと、前提として【秘密】はもう、バレるものだと思ってください。誰かが判定すれば、このゲームはほら、ポシビリティもあるし、カードもあるし、余程のことがない限り失敗しないから、まずバレます。

マキシム:まずはお互いの腹を割ることからかな。とりあえず俺は、〈発見〉で、ディアンがニッポンで金輪をかばってた件もあるから、話をして、ディアンの真意を探ろうと思う。

GM:はい、解りました。そうですね、場所はヴィクトリア・ピーク。香港島が一望できる、観光名所の山です。ケーブルカーにガタゴト揺られていって、山頂の方で、話すことになります。百万ドルの夜景が見える場所です。昼間の眺望も最高です。

マキシム:「傷の具合はどうだ、ディアン?」

ディアン:「大丈夫だ。このぐらい、怪我のうちに入らない」

マキシム:「ニッポンでの、ことだけどな」って切り出して、何て言おうか。相手を探るための言葉・・・。

リリアン:どう見ても喋るの苦手な2人だよね、これ。

ユウイチ:「お前に決闘を申し込む!」

ディアン:ちょっと早ぇよ!(笑)

GM:あと、【秘密】を開けたら、話の流れががらっと変わる、ってこともあるんで、先に判定するのも手ですよ。演出は後から考える。因みに目標値は16です。

マキシム:解りました。(コロコロ)ほら出た。20。(コロコロ)24。+8だから、21。

GM:超えました。では、ディアンの【秘密】を見てください。
 

 あなたは、金輪龍一と契約を結んでいる。
 あなたの【本当の使命】は、金輪龍一を暗殺者から守ることである。
 

マキシム:・・・うん。・・・ああー。

ディアン:だいたい予想通りでしょ。

マキシム:そうだね。じゃあ、ストレートに訊くけども、「俺が気になってたのは、お前は金輪龍一と話をした時に、金輪龍一から、助けられていた、って言ってたよな」

ディアン:「御前試合の会場に、パラン教徒が、乱入しようとしていた。パラン教徒は、ニッポン社会の敵だ。だから、パラン教徒を追って、必ず、商安局員がやってくる。そうすれば、何が起きたか・・・。オレはそれを止めたかった。だから、カナワ殿に、『この建物の外から、誰も入れないようにしてくれ』と頼んだ」

マキシム:「なるほどな」

ディアン:「願いは、聞き届けられた。カナワ殿は、不思議な魔法(*18)を使って、オレを助けてくれた。今度は、オレが、その恩に報いる番だ」

マキシム:「だから、金輪の身を守んなきゃいけないんだな。奴を殺したいって人間は、いくらでもいるからな」

ディアン:・・・・・。

マキシム:「お前も、辛かったんだな」・・・俺が話すことはここまでだね。

GM:もし、マキシムはもうすることがないんだったら、この流れのまま、ディアンに主導を移しましょうか。

マキシム:いいッスよ。ディアンはどうなの? 俺の【秘密】は、知りたいの?

ディアン:実は、ユウイチの方が知りたいんだ。マキシミリアンの【秘密】は、抜かなくても想像が付くから。

マキシム:え、ホント?

GM:だったらこの段階で、「オレはユウイチのことが気になっていて、こんな出来事があったんだ」って相談しても構いません。目の前の相手以外の【秘密】も抜けるので。

ディアン:解りました。では、言葉を切ったところで、「マキシミリアン。オレは、ユウイチに、リリアンを呼べないか、頼んでみた。だが、リリアンは、いい返事をくれなかった」

マキシム:「ま、リリアンは、何かを察して動いてるんだろうな」

ディアン:「ユウイチは、別のデンワという魔法の箱を出して、誰かと話をしていた。ユウイチが話す相手に、心当たりはないか?」と言って、ユウイチの【秘密】を抜きます。

GM:はい、オッケーです。

リリアン:っつーかGM、自分の【秘密】が抜かれそうな時って、抵抗できないんだ?

GM:できないです。シノビガミだと、敵も味方も【秘密】を抜き合った結果、事件の全体像が浮かび上がって、じゃあどうすればいい? っていうのを考えるケースがほとんどです。

ディアン:(コロコロ)ポシ使う。(コロコロ)出目悪いな。〈発見〉18です。

GM:超えました。では、ユウイチの【秘密】を。

ユウイチ:わたし実は、じゃーん!(カードスリーブを裏返す)ストームナイトを支援する謎の組織、ストームギルド(*19)の一員なんです。
 

 あなたはストームナイトを支援する新組織、ストームギルドの一員である。
 ギルドは「香港にサーコルドの再侵攻が迫っている」と伝えてきた。
 

闇影:ほうー。ハワイのアレかー。

ユウイチ:今回、ストームギルドから言われていたのは、香港に、サーコルドが再侵攻してくる可能性があるから、何とかしなさい、ってことなんですけど、そろそろみんなを焚きつけようかなーと思った矢先に、すっぱ抜かれました。

闇影:サーコルドかー。そんでカトリーナかー。

GM:ストームギルド自体は、まだ、あまり公の場に出たくないので、ユウイチというエージェントを使って、全体の流れを作ろうとしていたのですが、それが、知られてしまいました!

ユウイチ:なんてこったい。

ディアン:すごいね。オレ、どうして解ったんだろうね。

リリアン:野生の勘じゃね?(笑)

ユウイチ:野生の勘で、なんでギルドの名前まで解っちゃうんだ!

ディアン:きっとデンワにシール貼ってたんだよ。ストームギルドっていう。

ユウイチ:待て待て待て待て!

GM:ユウイチが持っているカードは、“知人”です。あなたは、好きな時に、ストームギルドのギルドマスターに連絡を取り、協力者を呼ぶことができます。

ディアン:おおー! それは大きい。

リリアン:レベル99ぐらいの、鬼のようなパラディンが来る。
 

「ストームギルド、か」
 小さくつぶやいた後、ディアンは相棒の顔を真っ正面から見据える。
 

ディアン:「マキシミリアン。不満かもしれないが、今は、お前の気持ちを、しまってくれ。この香港に、お前の戦ったことのない世界が、手を伸ばそうとしている」

闇影:因みに、我々は、戦ったことがあります(*20)。

ディアン:オレと、闇影と、他の仲間も結構な実力者だったんですけど、死にかけました。

GM:最強クラスの相手だからね。

ディアン:「オレには、ニッポンの花火会場で、お前が金輪龍一を殺そうとしていたことが解っている」

マキシム:・・・・・。

ディアン:「だが、考えろ。お前は、名の知られたストームナイトだ。誰もが見ているところで、お前の剣が金輪龍一の生命を奪えば、お前は殺人者だ。オレは、相棒を殺人者にしたくはない。しばらく、お前の剣を、オレに、貸してくれ。オレたちは、香港を、守らなくてはいけない」

GM:もしあの時、マキシムが殺っちゃってたとしたら、多分、この式典自体が、ご破算かな。

マキシム:しばらく黙ってから、ディアンに答えます。「解った。今は、香港返還のことを優先して考える。ただ、俺にも奴を倒さなきゃいけない理由がある」・・・バラしちゃった方がいいのかな。

GM:【秘密】の内容は喋れませんよ。

マキシム:解ってます。「この前ニッポンへ戻った時に、俺は家族に会いに行った。だが、家族は、俺の実家のあったところから、姿を消して、既にいなくなっていた。・・・さっき、家族から連絡があったんだ」

ディアン:「それは、よかったな! やっぱり、無事に、暮らしていたんだ」

マキシム:「ああ。金輪の人質になってな」

ディアン:!

マキシム:「お前には解らないだろうが、金輪龍一って奴は、確かに、ニッポンを、俺の住んでいた世界を、乗っ取っちまったんだよ。もし、また俺が、奴を倒そうとする時には、力を貸してほしい」

ディアン:「マキシミリアン・・・! まずは、人質を助けてからだ!」

マキシム:(溜息)うん。

ディアン:「オレは、お前の家族を助けることに、協力は惜しまない。この剣に賭けて誓う」

マキシム:・・・・・。

闇影:失礼。出ていいですか?「さて、そろそろ話は終わったか」と言うと、いつの間にかいる(笑)。

ディアン:「や・・・! 闇影・・・?!」

リリアン:まさにドヤ顔。

ディアン:「いつから、ここに、いた?」

闇影:「そうだな、傷の具合を尋ねていた辺りかな」

GM:ルール的には、今、出現したんだけどね(笑)。この2人の達人が気づかなかったわけだから、そこに居なかったとしか思えないんだけどね。

闇影:「まあ、貴公らの話に、俺が口を出す筋合いはないのだが、とりあえず、客が来るんでな。ちょっと集まっていただこう」

ディアン:「客、か?」

闇影:「来てもらえば解る」後ろを振り返って、「マキシミリアン。貴公の家族、助けに行く時は、我が力も使ってもらおうか」と言ってすーっと消えてく。

リリアン:カッコいいー。

マキシム:「すまない・・・」

ディアン:「行こう、マキシミリアン。オレは、お前を信じている」

GM:はい。ではシーンが閉じられます。

 
NEXT → 協力態勢樹立のため、仲間同士の腹の探り合いが続く……
 


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