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TORGリプレイ

『Samurai Showdown!!』

 

Epilogue

 
 人間の脳が処理できる情報量には、限界がある。
 カトリーナ・トヴァリシュは、それを重々承知で、なお限界を超えようとする。
 たった今ストームナイトが成し遂げた偉業、
 すなわち、ニッポンテックのハイロードである金輪龍一を倒す、という
 「希望の物語」を映像化し、テレパシーで拡散するために。
 香港に居合わせた全ての人へ、この偉業を伝えるために。
 

マキシム:大丈夫なの、彼女? 超能力はバックファイアが怖いんだよね。

闇影:ある程度高い達成値が出せれば、バックファイアは無効化できる。

GM:出せればね。(コロコロ)あーよかった、ダブル。(コロコロ)「これで、みんなに物語が伝わりました。一瞬スティリーが起動してしまったので、希望を奪われた人は、いたかもしれませんが、その人たちにも、希望が戻ったはずです。これで多分、耐えられるはず。よかった・・・。未来が変わった・・・!」と言って彼女は倒れます。

ディアン:支えてあげてください。

ユウイチ:え、おれ?

ディアン:だって、ギルドの関係者は、ユウイチだけ。

ユウイチ:しょうがないなー。じゃあ、ギルド本部に電話。

GM:そうすると、ジェシカが出ます。

ユウイチ:旦那の方は、何とかなったみたい。

GM:きついこと言われた。私、振られたのに(笑)。

ユウイチ:ああ、ごめんごめん。それは冗談だから。言い間違えただけだから。「ディアンの方は、何とかなったみたいだよ」

GM/ジェシカ:『うまくいってよかったです』

ユウイチ:「心臓に悪くてごめんね?」

GM/ジェシカ:『勿論、心配はしてましたけど、信じてましたから』

ユウイチ:「とりあえず、後で、報告書をそっちにお渡しするようにしますんで。これからも、良いお取引を」

GM/ジェシカ:『はい。よろしくお願いします』

ユウイチ:やっぱおれ、ニッポンテックに毒されてるのかな。

リリアン:毒されてる。

闇影:もうそろそろ、リアリティが変わってもおかしくない。

GM/ジェシカ:『ディアンさんたちに、よろしく伝えてください。私は頑張っています』

ユウイチ:「あなたがギルドマスターだって、言っちゃっていいの?」

GM/ジェシカ:『! えーと、ギルドマスターって人が頑張ったらしいです、って』

ユウイチ:「おれは、言わないけど、他が喋りそうなんで、気をつけるように。じゃ!」ピッ。やれやれだぜ。

GM:ふとあなたは、カトリーナが、全部終わったら海へ連れて行ってくださいね、と言っていたことを思い出します。

ユウイチ:海かー。そういえば、あの嵐で、おれの飛行機どうなったんだろうか。

リリアン:ビルの隅に引っ掛かって止まってんじゃないの?

ユウイチ:NOーーーーっ!(笑)やっと整備したのに!
 

【CAST】ユウイチ・カゲヤマ
---レルムランナー
 

リリアン:私、忍者と一緒に出掛けたいんだけど。

GM:では、芭蕉が現れます。「場所は突き止めてある」

闇影:「承知。では、行こう。なーに、この後の約束もあることでな。急いで済ませてしまわねば」

リリアン:「そうね。仕事はさっさと終わらせた方がいいわ」

GM/芭蕉:「ニッポンでは、私の仲間が、手引きをしてくれる筈だ。名を芹奈という」

マキシム:あっ。

GM:「まあ、彼女にとっては、その後の方が大変だろうが」と言って、「ありがとう。私を、倒してくれて」

闇影:「これもまた、正義のため。正義を貫くが、我が使命。そう。正義のために生き、正義のために死ぬ。そのために、俺はここにいる」

リリアン:「はいはい、正義正義(笑)。さ、行くわよ」

ディアン:そうすると、ニッポンで出迎えた人が、「夫がお世話になりました」

GM:ドライだ。

ディアン芹奈 :「私は荒事が苦手ですので、作戦指示を担当いたします。早速ですが、マンションの場所は・・・」

GM:多分彼女の頭の中は、「これから挨拶かー」(笑)

リリアン:ぐるぐる渦巻いてる。

ユウイチ:「わしゃあ、フランス料理とか食ったことがないんじゃが」

GM:「楽しみだなー。綺麗なガイジンのお姉さんができるなんてー」

ユウイチ:ガイジンのお姉さん?(リリアンを指差す)

GM:「あっ! セリーナさんですか! 思ってたより、背、小ちゃいですね。あっ、可愛くていいと思いますよ!」

リリアン:「えーっとぉー・・・」(笑)

GM:そんな未来絵図。というわけで、マキシムの家族は無事、助け出されることになると思われます。

リリアン:お約束の、入口のドアを蹴破ったところで、終わるんだよね。

マキシム:ありがとう。
 

【CAST】リリアン・シュール
---私立探偵

闇影
---ザ・ニンジャ
 

ディアン:オレのやることはひとつ。女王陛下に詫びを入れる!

GM:では、アイルの王宮です。アーディネイ女王は、いつも通り、微笑んでます。

ユウイチ:青筋は?

GM:立ってませんよ。大丈夫大丈夫。

ディアン:「女王陛下。オレは、オレの心に従った結果、陛下の顔に、泥を塗った。オレは、ニッポンの、力ある、びじねすまんの、命を奪った」

リリアン:平仮名なんだよね、ビジネスマン。

ディアン:うん。「話をまとめるように、言われていたのに、オレは、こんな不始末をした。陛下。オレは、騎士叙任の話を、断りに来ました」

GM:そうすると、アーディネイ女王は、困ったような表情を浮かべた後に、「その件ですが」
 

 傍らの水鏡に、ニッポンのニュース番組の1シーンが映る。
『金輪龍一さん、ビル倒壊現場から無事救出!
 奇跡の生還を果たした(*34)、金輪龍一さんのインタビューです』
 

ディアン:!

GM/アーディネイ:「皆さんが罪に問われることは、ないようです」

リリアンユウイチ:ああー。

マキシム:なるほどね。

GM/アーディネイ:「むしろ彼の側から、助けてもらったお礼に、是非、あなたを聖騎士に、と」

ディアン:へ?!

ユウイチ:要は、下手に動かれないように、この場で釘付けにしたい、って思ってるんじゃないかな。

GM:首には鎖を繋いでおきたいですね。「勿論、今すぐに、とは申しません。私たちとしても、真実を明らかにするつもりではありますが、やはり、力と知恵と、他にも何か、足りないものがあるのでしょう」

ディアン:・・・・・。

GM:トルウィンが言います。「聖騎士には、そうそうなれるものではないし、かと言って、なれと強制するものでもない。自らの意思と、神に選ばれた者。そして、名誉に恥じぬ者だけがなれるのだ。負う義務は多いが、できることも多くなる。きみの心の望むことを、言えばいい。我々はそれを尊重し、応援しよう。共に轡を並べて戦える者が、増えてくれると嬉しいがな」

ディアン:「明日、答えを出します」と言って、一礼して部屋を出ます。ホントに、今日は考えさせてください。

GM:いいですよ。ではディが去った後で、アーディネイ女王とトルウィンが話をします。「ディアンは、何と答えるでしょうね」「さあ。私には判りません。ですが、何と答えたとしても、ずっと彼は、ストームナイトです」
 

【CAST】ディアン・オブロー
---バーバリアン戦士
 

 ホテルの一室で、マキシムは、戦いが終わった後のことを思い出していた。
 嵐が止み、愛機の惨状を見て悲鳴を上げるユウイチの許に、仲間と共に駆け寄った時のことを。
 

マキシム:深々と頭を下げて、「みんな、ありがとう。みんなのおかげで、この香港は守られた。俺は、本当に素晴らしい仲間を持ったと思う。今回のことがあって、俺は、みんなの力があれば、金輪龍一から故郷を取り返すことができるって、改めて確信できた。どうか、これからも、俺に力を貸してほしい」と言って、涙を流して、ひとりひとりの手を取って、礼を言っていきます。

闇影:「まだ終わっておらん。貴公が家族と再会を果たすまでは、な」

リリアン:「そうそう。これだから熱血バカは」って言いながら、忍者連れてくから。

ユウイチ:ってことは、お迎えはやっぱおれなんだろうねー。

リリアン:壊れてるでしょ、飛行機。

ユウイチ:ん? 大丈夫、飛ぶ飛ぶ。うちのケティちゃんは強いから大丈夫!

GM:強い子、泣かない子。

ユウイチ:泣いてるのはこっちの心。ああー、直したばかりなのにー。

ディアン:「闇影の言う通りだ。涙は、家族と会う時まで取っておけ」

マキシム:「・・・わかった」

ディアン:「マキシミリアン! お前は、英雄だ(*35)。胸を張っていけ」

マキシム:こいつ、照れくさいこと言うなー。
 

 チャイムの音を聞き、マキシムは弾かれたように立ち上がる。
 しかし、ドアの外に家族の姿はなく、ベルボーイが一通の封書を持っていただけだった。
 

マキシム:開いてみよう。

GM:婚姻届が入っています。

リリアン:え?

マキシム:誰が送った?

ディアン:芹奈に決まってんだろ!(笑)

GM:芹奈さんが、自分の名前を書いて、印鑑押して、法的に処理したければどうぞ! って。

マキシム:そういうことか。いい加減にしろと。

リリアン:すげーよ、カミさん。

ユウイチ:怒ってます、怒ってます。

GM:これから、お父様お母様おじいさまおばあさま、あと妹さん、に挨拶しなきゃいけないんですけど。因みに私、ニッポンでは死んだことにされてるんですけど(*36)。

マキシム:バーバリアンに、戸籍の概念ないからね。忘れてた。

闇影:きっと、飛行機の中で、「息子の嫁さんって、どんな人かなー」わくわく。「この人(リリアン)じゃなかったんだってー。じゃあどんな人なのかなー」わくわくわくわく。

ユウイチ:「あれ、ガイジンじゃなかったの?!」

ディアン:芹奈は既に、イギリス国籍取ってると思う。そういう意味では外国人だよ。

GM:このまま一家揃ってアイルに亡命か、ラウル・ブロックに保護してもらって、ニッポンで暮らし続けるか。どちらにしても、あなたたちはこれから、剣では解決できない戦いに(笑)、赴くことになります。
 

 事務的な手紙の最後に、一行、芹奈の言葉が綴られていた。
『克己。ちゃんと自分に、勝ったね』
 

マキシム:・・・・・。
 

【CAST】マキシミリアン
---バーバリアン戦士
 

 伏せられたトランプが、1枚ずつめくられていく。
 捨てた札と入れ替わりで手許にやってきた、最後の1枚は、ジョーカー。

「これで解っただろう。金輪は力では倒せない。
 だがこの程度で、心が折れるようでは、真のストームナイトとは言えない」

 金輪龍一と同じ顔をした忍び装束の男、芭蕉は、香港の夜景を見下ろしながらつぶやく。
「私が望むストームナイトよ。いつの日か、私も、滅ぼしてくれ」
 

GM:(指を鳴らす)はい! 決着がつきました! サムライ・ショウダウン! お疲れさまでした!

一同:ありがとうございましたー!(拍手)
 

 限りなく今に近い未来………
 今夜、あるいは明朝、さもなければ来週……ほんの少しだけ未来の物語
 

 TORG Replay『Samurai Showdown!!』Fin.

---Thanx a lot for your reading! You are witnesses to the new legend!
 

(→postscript
 


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