TORG三題噺シナリオ・おまけレポート

『人形使いの憂鬱』

Last Updated:2003.01.27
 

→シナリオ『トリニティ・ドール』


 
 海津は、長い夢を見ていた。

武道の道を極めるにあたり、避けては通れぬ因縁の対決。
果敢にも彼はふたまわりほど大きな相手に挑み、そして敗れた。
決して軽いわけではない彼の身体が、いとも容易く宙に舞い、
一瞬の後、地面へ叩きつけられた。
浴びせられる嘲笑。屈辱に打ち震え、彼は歯を食いしばる・・・

 目を覚ますと、そこはドーバートンネルのほぼ中央。
 二、三度頭を振り、状況の整理を試みる。
 どうやら強烈なリアリティ・ストームに襲われて気を失っていたようだ。

海津:「・・・嫌な夢を見た」
 


第二幕

 
 女性を制御していたチップの中身を調べるため、フランスへ渡ることにしたストームナイト。今や「サイバー教皇領」と化したフランスは、常に厚い嵐の壁に覆われ、侵入者を拒んでいる。イングランド島とフランスを直接繋ぐドーバートンネルの中とて、例外ではない。激しく吹き荒れる嵐=リアリティ・ストーム。通り抜ける際の抵抗判定で海津が危機に陥るが、何とか全員生きて通過し、フランスへと足を踏み入れる。

 上陸早々、ライアンが“知人”カードを使い、以前別のシナリオでも登場した科学者仲間、マドモワゼル・ミュウ=ミュウと連絡を取る。

ライアン:「今フランスにいてね、mon amie. 君の力を借りたいんだ」

GM/ミュウ=ミュウ:『リアルで会うのは久しぶりね。いつもの店で待っていて』

 彼女のラボにてチップを分析したところ、そのうち1つが位置探知機能を備えた信仰チップ(サイバー教会の教義を強要するため使われるチップ)だと判明。思わずそれを破壊しそうになるが、辛うじて踏み留まる。そして、ネズミの背に括り付けて下水へ放し、時間稼ぎをすることを思いつく。

 残り2つのうち、どちらかがリンフィールを蛙に変えた魔法使いの精神チップだ。ミュウ=ミュウにリスクを背負わせるわけにはいかないからと、ライアンが意を決して自分のチップホルダーへチップを挿し込む。すると・・・。

ライアン/武道家:「ほう、見覚えのある顔がおるな」

 海津に向けてニヤリと笑うライアン。なんと、そのチップには海津がかつて完敗を喫した相手の精神が入っていたのである(サイドストーリー“仇敵”の効果)。

海津:「今の俺は昔の俺とは違う。かつての雪辱、今ここで晴らす!」

ライアン/武道家:「ひよっこがよく吠える。何度やっても同じこと。だがそこまで言うなら、相手をしてやろう!」

 熱いシチュエーションへ持っていくことができ、上機嫌のGM。海津もやる気充分。しかし我々は、大切なことを失念していた。

ロキ:えっ・・・角力で?

 そう、海津の選んでいた武道の流派は角力(すもう)だったのだ。すっかりそのことを忘れていたGMは、ロキの言葉に笑いのツボを突かれて撃沈。対照的に悪ノリし始めるプレイヤー諸氏。

海津:「いざ尋常に、勝負!(服を脱ぎ捨てると既にまわし姿)」

ブリジット:「角力? いいじゃん、やっちゃえやっちゃえー。ボク、土俵書いたげるよー」

ロキ:「なら行司は俺が」

ライアン:「頼むからやめてくれー!

 絶叫するライアン。彼は死に物狂いで身体の支配権を取り戻し、決闘は幻と化した。・・・ちょっと残念。

(→Scene2
 

 因みに、「すもう」の漢字表記は「相撲」の方が一般的だと思うが、TORGルールブックでは「角力」となっているため、そちらで統一している。
 


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